長者の山(読み)ちょうじゃのやま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長者の山」の意味・わかりやすい解説

長者の山
ちょうじゃのやま

秋田県の民謡仙北(せんぼく)市田沢湖地区周辺の祝い唄(うた)。この唄のもとは、岩手県との県境に近い国見温泉に農閑期のほね休めにくる老婆たちが、即興の文句を入れて互いに歌い合った掛け唄であり、またの名を「婆々(ばば)踊り」ともいった。また、田沢湖近くに住んでいた長者金鉱を掘りあてた際、自分たちもあやかりたいと村人たちが歌い始めたという伝説がある。しかし、祝い唄らしい文句は、「栄(さか)る栄ると長者の山栄る」という初めの一節ぐらいで、全体的に祝い唄らしい雰囲気はない。全体的には草刈り唄に似た文句であるので、初めは草刈り唄であったものが、湯治場の客の唄に変化したとも考えられる。ほかに、仙北市角館(かくのだて)町の神明(しんめい)社の旧暦8月の祭りの「桟敷(さじき)踊り」の唄として歌われたのがこの『長者の山』だという説もある。

斎藤 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む