山川 日本史小辞典 改訂新版 「阿氐河荘百姓申状」の解説
阿氐河荘百姓申状
あてがわのしょうひゃくしょうもうしじょう
紀伊国有田川ぞいの山間荘園である阿氐河荘上村の百姓らが,1275年(建治元)10月28日,地頭湯浅氏による苛酷な収奪の実情を,荘園領主円満院に訴えた申状。たどたどしい片仮名書きで,13カ条にわたって具体的に地頭の非法を告発した言上状として著名。「ミミヲキリ,ハナヲソキ」と脅迫する地頭方の言葉は,その暴力的な支配のありさまを如実に示している。また荘園領主への公事(くじ)である材木の納入が遅延しているのは,地頭方の苛法に原因があると主張し,荘内での生活の保証を要求する百姓らの言い分からは,その抵抗の強靭さがうかがえる。「大日本古文書」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報