阿津賀志山の戦(読み)あつかしやまのたたかい

改訂新版 世界大百科事典 「阿津賀志山の戦」の意味・わかりやすい解説

阿津賀志山の戦 (あつかしやまのたたかい)

1189年(文治5)8月8日から10日にかけて,福島県国見町の厚樫山(現在はこう書く)一帯で行われた戦い。源頼朝が陸奥国平泉の藤原泰衡を討つために行った,いわゆる奥州征伐の中の最大の激戦。このとき奥州勢は,鎌倉勢を迎え討つために阿津賀志山に城塞を築き,泰衡の異母兄西木戸国衡(にしきどくにひら)を守将とする2万騎の軍兵を配し,泰衡自身は後方の国分原鞭楯(こくぶがはらむちだて)(現,仙台市宮城野区榴岡(つつじがおか))に陣していた。頼朝は8月7日伊達郡国見宿に到着。戦いは翌8日早朝から始まった。激戦が続いたが,10日に至って結城朝光らが西方を迂回し,国衡の陣のうしろの山から矢を射かけたため陣中は大混乱となり,勝敗が決した。国衡は敗走の途中,柴田郡大高山のあたりで討ち取られ,泰衡は戦わずして陣を捨てて逃れた。厚樫山山麓には今も二重堀(ふたえぼり)という大規模な堀跡があるが,それはこのとき防備のために掘ったものと推定されている。
奥州征伐
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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