阿部真造(読み)あべ・しんぞう

朝日日本歴史人物事典 「阿部真造」の解説

阿部真造

没年:明治11.3.21(1878)
生年天保2(1831)
江戸後期・明治初期のキリスト教徒。慶応3(1867)年ごろキリシタン改宗,伝道師本名貞方良輔。長崎の唐通事書役の家に生まれる。カトリック日本名義司教プティジャンの教書印刷に貢献。明治2(1869)年護教書『夢醒真論』で政府の信仰弾圧を批判。翌年マラッカのピナンに避難した神学生に同行,帰国後も横浜で国漢を教授,出版に従事したが,同5年2月突然,出奔し棄教,教導職に採用され『弁正洋教』でキリシタンを排した。彼の入信と棄教を巡って諸説あるが謎も多い。<参考文献>片岡弥吉「阿部真造について」(『キリシタン研究』6号),海老沢有道「維新前後における一知識人足跡」(『維新変革期とキリスト教』)

(片岡千鶴子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿部真造」の解説

阿部真造 あべ-しんぞう

1831-1888 幕末-明治時代の宗教家。
天保(てんぽう)2年生まれ。唐(とう)通事書記となるが,洗礼をうけてプティジャン版教書などの出版にあたる。明治2年浦上信徒弾圧事件で香港にのがれた。帰国後,神道に転じ教導職となった。明治21年3月21日死去。58歳。肥前長崎出身。本名は貞方良助(輔)。通称は次平太。著作に「夢醒(むせい)真論」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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