改訂新版 世界大百科事典 「除目大成抄」の意味・わかりやすい解説
除目大成抄 (じもくたいせいしょう)
任官の行事である除目の執行に当たる公卿のための参考の書。《大間成文抄(おおまなりぶみしよう)》ともいう。官職制度研究の重要な史料。成立は鎌倉時代初期。10巻。後京極摂政とよばれた藤原(九条)良経(1169-1206)が類聚。年々の大間書(おおまがき)(欠員の官を列記し,除目のときに任官者を記入する文書)を集めて,例えば年給,成功(じようごう),官司等の挙奏,巡任,兼国など任官の事由によって詳細に分類したもの。参考とすべき任官申請の申文,年労(勤続年数)や上日(出勤日数)などの勘文(調査書)等をも多く収載している。原本は伝わらず,1497年(明応6)三条西実隆が良経の自筆本(第4~6巻は1227年良経の孫洞院教実の写本)によって書写した系統の写本が伝えられている。宮内庁書陵部本,彰考館本,内閣文庫本などが存する。活字本は《新訂増補史籍集覧》(底本は彰考館本)所収。
執筆者:黒板 伸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報