陰謀説(読み)いんぼうせつ(その他表記)conspiracy theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陰謀説」の意味・わかりやすい解説

陰謀説
いんぼうせつ
conspiracy theory

社会の構造上の問題を背後にひそむ個人ないしは集団陰謀のせいにすること。一般に複雑な歴史過程を分析して,変化の動因を探ることはむずかしい。逆に特定の人間ないし人間集団の陰謀によって歴史が動かされるという考え方は理解しやすい。そこで大衆を操縦するために,しばしばこの陰謀説がとられることになる。ナチドイツ悲運の責任をユダヤ人共産主義者の陰謀のせいにして,巧みに大衆の怒りをかきたてることに成功した。陰謀説は一種イデオロギー批判ではあるが,この批判自体が社会や政治現実を神秘化するイデオロギーなのである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android