隈無し(読み)クマナシ

デジタル大辞泉 「隈無し」の意味・読み・例文・類語

くま‐な・し【×隈無し】

[形ク]
影や曇りがない。隠れるところがない。
「月は―・きをのみ見るものかは」〈徒然・一三七〉
隠し隔てがない。わだかまりがない。
好色事すきごとども、かたみに―・く言ひ表し給ふ」〈・葵〉
行き届かないところがない。抜かりがない。万事に通じている。
「おのれも―・き好き心にて、いみじくたばかり」〈夕顔

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精選版 日本国語大辞典 「隈無し」の意味・読み・例文・類語

くま‐な・し【隈無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. くもりやかげがまったくない。隠れているところがない。
    1. [初出の実例]「秋風、河原風まじりてはやく、草むらに虫の声みだれてきこゆ。月くまなうあはれなり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. 隠しへだてがない。わだかまりがない。
    1. [初出の実例]「僧都の御心は、聖といふ中にも、あまりくまなく物し給へば、いまさらに残りては聞え給ひてんや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夢浮橋)
  4. 行き届かないところがない。万事に行き渡っている。抜かりがない。
    1. [初出の実例]「惟光『いささかの事も、御心にたがはじ』と思ふに、おのれもくまなきすき心にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)

隈無しの派生語

くまな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

隈無しの派生語

くまな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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