精選版 日本国語大辞典 「雨の脚」の意味・読み・例文・類語
あめ【雨】 の 脚(あし)
- ( 「雨脚(うきゃく)」の訓読み )
- ① 白い糸のように見える雨のすじ。また、雨の降るさま。あまあし。
- [初出の実例]「今日の昼つ方より、雨いたうはらめきて、あはれにつれづれとふる。〈略〉あめのあし同じやうにて」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
- ② ( 雨のすじが切れめなく見えるさまから ) たえまのないさま、ひんぱんなさまなどのたとえ。
- [初出の実例]「朱雀院の御使は、ふるあめのあしごと、参りては立ちなみてあり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲下)
雨の脚の語誌
( 1 )杜甫・白居易などの唐詩に見える詩語「雨脚」がわが国に輸入されたもので、早く菅原道真の詩文に用いられている。これが訓読されて「あめのあし」という語が生まれ、平安朝の仮名文学作品に用いられ、さらに和歌にも詠まれるようになった。
( 2 )②の用法は「あめの脚音(あしおと)」のように歌語としては人間の足音をたとえる表現へと展開したが、近世以降は、天候についていう場合に限られるようになった。