電子回折カメラ(読み)デンシカイセツカメラ

化学辞典 第2版 「電子回折カメラ」の解説

電子回折カメラ
デンシカイセツカメラ
electron diffraction camera

物質の電子(線)回折模様を記録観察する装置電子銃,電子線集束レンズ系,試料室,回折像観察用蛍光板およびカメラ部からなり,一体として内部を約 10-2~10-3 Pa くらいの真空に保つ.図に示すように電子顕微鏡を簡単にしたような原理で,平行電子線束を試料に当てればよいが,市販品として一定した設計のものは少ない.最近の電子顕微鏡は高性能の回折装置としての機能も備えるようになった.電子顕微鏡では試料と蛍光板の間に対物,中間投影の3レンズがあるが,試料を投影レンズと蛍光板の間に置き,レンズ系の電流を調節して高分解能電子回折カメラとして使える.また,試料面上1 μm 程度に制限された部分による回折,すなわち制限視野回折の観察が可能で,微細な結晶しか得られない場合に有効である.多くの回折実験に使われる電子のエネルギーは数万ないし数十万eV で,適当な試料の厚さは数十ないし数百 nm である.固体表面の研究には数百 eV の低速電子を利用する方法(LEED(リード))も用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android