知恵蔵 「電子書籍のフォーマット」の解説
電子書籍のフォーマット
よく利用されている電子書籍のフォーマットとして、主に次のようなものが挙げられる。PDF(Portable Document Format)はパソコン上で読むことのできる汎用性が極めて高いフォーマットである。元はアドビシステムズという一企業が開発した規格であったが、その汎用性が注目され、2008年に国際標準化機構(ISO)によって標準規格化されている。しかし、著作権保護に対する機能がパスワードによる保護中心であり、このことを不安視する出版社も多いため、商業書籍用の電子書籍フォーマットとしてはあまり普及していない。
XMDFはシャープが同社のPDA「ザウルス」などのために開発した電子書籍フォーマットである。パソコン用のビューアも提供されており、PDA以外のプラットフォーム上でも閲覧できる。近年、このフォーマットは携帯電話向けの漫画データ用としても使用されている。
BookSurfingはセルシスが開発した携帯端末用の電子書籍のフォーマットで、現在携帯電話キャリア各社が提供する漫画データは、ほぼこの方式を採用している。日本国内ではこれが事実上の標準となっているが、国外で販売されている携帯電話での表示が困難であり、コンテンツの海外輸出の妨げになっているという意見もある。
ePubはIDPF(International Digital Publishing Forum)による規格で、XHTMLをベースにしたオープンなフォーマットである。2010年にアップルが発表した「iPad」で使われる他、米国で販売されているソニーの電子書籍、Googleが提供する電子書籍の標準フォーマットとされている。
(高安正明 ITライター / 2010年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報