電流ばかり(読み)でんりゅうばかり(その他表記)ampere balance

改訂新版 世界大百科事典 「電流ばかり」の意味・わかりやすい解説

電流ばかり(秤) (でんりゅうばかり)
ampere balance

電流単位アンペアを定義に従って実現する電流の絶対測定に用いられる装置。その方法には一定電流の流れる二つのコイル間の力を質量標準と比較して求める電流ばかりと,コイル間の回転力を用いるエレクトロダイナモメーターがある。図に電流ばかりの原理を示す。FC,F′Cは固定コイル,MCは可動コイルでてんびんの一つの腕からつり下げられている。一つの固定コイルと可動コイル間の力は,

で表される。fIMxはそれぞれ,力,電流,相互インダクタンス,上下方向の変位である。∂M/∂xをコイルの寸法などから理論式を用いて計算する。一方,1A程度の電流を両コイルに共通に流し,力(2~10gf)を質量標準と比較して測定する。この場合,標準電池と標準抵抗器を用いて電流を測定する。これらの結果から標準電池と標準抵抗器によって維持される電流の絶対値が求められる。最近では電流ばかりのほか,電流に関連する物理定数の精密測定結果を総合して電流の絶対値を求めている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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