相互インダクタンス(読み)そうごいんだくたんす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「相互インダクタンス」の意味・わかりやすい解説

相互インダクタンス
そうごいんだくたんす

変圧器などのコイル系で、異なるコイル間の電磁誘導の大きさを決める定数相互誘導係数ともいい、記号Mで表すことが多い。のように、二つのコイルからなる系において、コイル(1)に流れる電流が毎秒1アンペアの割合で変化するとき、コイル(2)に生ずる誘導起電力がMボルトである場合、相互インダクタンスはMヘンリーであるという。コイル(2)に流れる電流が変化し、コイル(1)に生ずる電磁誘導の相互インダクタンスもMヘンリー(国際単位系の単位。記号はH)となる。相互インダクタンスMは、コイル(1)、(2)の自己インダクタンスL1、L2とともにコイル系の基本定数で、変圧器などコイル系の理論に用いられる。


と定め、k結合定数とよぶ。kは1と0との間の値をとり、1に近いときコイル間の結合は密であるといい、0に近いときコイル間の結合は疎であるという。

[山口重雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「相互インダクタンス」の意味・わかりやすい解説

相互インダクタンス
そうごインダクタンス
mutual inductance

ある回路の電流変化によって他の回路に生じる起電力の大きさを表わす量。単位はヘンリー。相互誘導係数ともいう。回路Aに電流 I を流したとき,近くにある回路Bの鎖交磁束数 (巻数と磁束との積) がλであれば,比例定数M としてλ =MI である。この M を相互インダクタンスという。回路Aの電流が変化すると,回路Bを貫いている磁束も変化するので,電磁誘導の法則により,e=-dλ/dt=-MdI/dt の起電力が回路Bに生じる。回路A,Bの自己インダクタンスL1L2 とすれば, の関係がある。 k は2つの回路がどの程度密に磁気的に結合しているかを表わし,結合係数という。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android