日本大百科全書(ニッポニカ) 「電流滴定法」の意味・わかりやすい解説
電流滴定法
でんりゅうてきていほう
amperometric titration
電気滴定の一種で、被滴定液を入れた電解槽に指示電極(注目する反応がおこる電極)と対極を挿入し、外部から一定の電圧を加えて電気分解を行い、その際に電極に流れる電流を測定しつつ滴定を行って、滴定曲線の折れ目から終点を決める方法。指示電極として電極表面積の小さい滴下水銀電極、静止微小電極、回転白金電極などの分極性微小電極を使用し、対極として十分広い電極表面積をもったカロメル電極、銀‐塩化銀電極のような非分極性電極を用い、指示電極電位を一定として電流値を測定する。ポーラログラフィーと同様の装置を使用する。電導度滴定が極の分極を避けて溶液抵抗による電流変化を追跡するのに対し、本法は十分な支持電解質を加え、溶液抵抗をほとんどゼロの状態にし、分極性の電極を使用する点に特徴がある。分極性電極を2個使用する方法もある。
[高田健夫]