精選版 日本国語大辞典 「霜焼」の意味・読み・例文・類語
しも‐やけ【霜焼】
- 〘 名詞 〙 摂氏五~一〇度という軽度の低温環境にあって起こる一種の血管麻痺。血のめぐりが悪くなり、かゆみを伴う。貧血性、腺病質、多汗症、栄養不足などの者がなりやすく、小児と女性に多い。凍瘡(とうそう)。ゆきやけ。しもばれ。《 季語・冬 》
- [初出の実例]「梅探る手は霜やけも薫しし〈山川〉」(出典:俳諧・いつを昔(1690)交題百句)
霜焼の語誌
( 1 )この語の古い言い方は「しもくち(霜朽)」で、中世末期の「羅葡日対訳辞書」「日葡辞書」に「しもばれ(霜腫)」があらわれる。「随・嬉遊笑覧‐六下」の「契沖云しもくちは俗に霜ばれといふ」は、「しもくち」が江戸時代には古語化していることを示す。
( 2 )室町期の「史記抄」には「ゆきやけ」がみえ、厳寒時の重度の凍傷を意味したとみられるが、近世後期には一般的でなくなる。現代共通語の「しもやけ」は、近世初期に「しもばれ」と「ゆきやけ」との混淆により成立したとされる。