山川(読み)ヤマガワ

デジタル大辞泉 「山川」の意味・読み・例文・類語

やま‐がわ〔‐がは〕【山川】

山の中を流れる川。
[類語]河川大河大江江河大川おおかわ大川たいせん小川細流谷川渓流せせらぎ流れ川面水面どぶ川氷河川面かわづら

さん‐せん【山川】

山と川。また、それらを包括した大地。「山川草木」
山中を流れる川。やまがわ。
[類語]山海山河山水山野野山

やま‐かわ〔‐かは〕【山川】

山と川。山や川。
山の神と川の神。
「―も依りて仕ふる神の御代かも」〈・三八〉
白酒のこと。山川酒
「玉川は箱―は樽へ入れ」〈柳多留・六六〉

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精選版 日本国語大辞典 「山川」の意味・読み・例文・類語

やま‐かわ‥かは【山川】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 山と川。山や川。山河(さんか)さんせん
    1. [初出の実例]「亦山河(やまかは)の物を悉に備へ設けて、宇礼豆玖(うれづく)をこそ為め」(出典:古事記(712)中)
  3. 山の神と川の神。山や川をつかさどる神。また、山の精と川の精。
    1. [初出の実例]「周(あまね)く山川を祠りて」(出典:日本書紀(720)推古一五年二月(岩崎本訓))
  4. やまかわざけ(山川酒)」または「やまかわしろざけ(山川白酒)」の略。
    1. [初出の実例]「御酒なら山川、味淋のたぐひ」(出典:談義本・華鳥百談(1748)四)

山川の補助注記

「やまがわ」は別語。


さん‐せん【山川】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 山と川。また、それらを含む大地。
    1. [初出の実例]「皇輿は忽ちに駕して、山川(さんせん)(しの)き度(わた)り」(出典:古事記(712)序)
    2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・漸漸之石〕
  3. 山の方から流れて来る川。〔日葡辞書(1603‐04)〕

やま‐がわ‥がは【山川】

  1. 〘 名詞 〙 山の中の川。山中を流れる川。山から流れ落ちる川。
    1. [初出の実例]「耶麻鵝播(ヤマガハ)に 鴛鴦(をし)二つ居て 偶(たぐひ)よく 偶(たぐ)へる妹を 誰か率(ゐ)にけむ」(出典:日本書紀(720)大化五年三月・歌謡)

山川の補助注記

「やまかわ」は別語。


やまかわやまかは【山川】

  1. 姓氏の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「山川」の意味・わかりやすい解説

山川(徳島県)
やまかわ

徳島県中北部、麻植郡(おえぐん)にあった旧町名(山川町(ちょう))。現在は吉野川市(よしのがわし)の北西部を占める一地区。1955年(昭和30)川田、山瀬(やませ)の2町と三山(みやま)村の一部が合併して成立。2004年(平成16)鴨島(かもじま)町、川島(かわしま)町、美郷(みさと)村と合併、市制施行して吉野川市となる。旧町域は、吉野川中流南岸に位置し、同川沿岸をJR徳島線、国道192号が走り、国道193号が通じる。中心の川田は室町時代に守護の細川氏が井上城を築いた地。江戸時代には川田八幡神社の大市でにぎわい、また川田川の水と流域のコウゾミツマタなどの材料を利用した和紙生産が盛んであった。和紙造りは県の無形文化財。山瀬地区の忌部(いんべ)神社は阿波(あわ)開拓の祖忌部を祀(まつ)る。「おこうっつぁん」とよばれる高越山(こうつざん)は信仰の山で、山頂に高越神社、頂上近くに高越寺(「絹本著色仏涅槃(ぶつねはん)図」は国指定重要文化財)がある。また、東麓にはふいご温泉がある。川田八幡神社の神代御宝(かみよおたから)踊りは豊年、雨乞(あまご)いを祈願するもので県指定無形民俗文化財。船窪(ふなくぼ)のオンツツジ群落は国指定天然記念物。

[高木秀樹]

『『山川町史』(1959・山川町)』



山川(鹿児島県)
やまがわ

鹿児島県揖宿郡(いぶすきぐん)、薩摩半島(さつまはんとう)の南東にあった旧町名(山川町(ちょう))。現在は指宿(いぶすき)市の南東部を占める。旧山川町は1930年(昭和5)町制施行。2006年(平成18)指宿市に合併。旧町域は火山地形が発達し、山川港は山川火山の旧噴火口の北東部が決壊し、海水が流入してできた天然の良港。鰻池(うなぎいけ)は火口湖、鷲尾岳(わしおだけ)はトロイデ型火山である。JR指宿枕崎(いぶすきまくらざき)線が通じ、大隅(おおすみ)半島の根占(ねじめ)とをカーフェリーが結んでいる。歴史が古く、成川(なりかわ)遺跡は弥生(やよい)中期から古墳時代中期の埋葬遺跡で、土器、鉄器、人骨を多数出土。中世、倭寇(わこう)の根拠地。近世、鹿児島の外港として南方貿易の基地となり、急速に発展した。カツオ水揚げが多く、かつお節の製造が盛ん。水産業のほか、ダイコンニンジンなどの野菜、花卉(かき)、タバコ、スイカなどの栽培や畜産が盛んであり、農業生産性は高い。霧島錦江湾(きりしまきんこうわん)国立公園に属し、特別天然記念物にソテツ自生地があり、長崎鼻や鰻池などの観光地も多い。

[平岡昭利]

『『山川町郷土史』(1958・山川町)』


山川(福岡県)
やまかわ

福岡県南西部、山門郡(やまとぐん)にあった旧町名(山川町(まち))。現在はみやま市の東部を占める。旧山川町は1969年(昭和44)町制施行。2007年(平成19)、瀬高(せたか)町、三池(みいけ)郡高田(たかた)町と合併、市制施行してみやま市となった。旧山川町域の東部は古生層からなる筑肥(ちくひ)山地で、西部に沖積地が広がり、国道443号が通じる。国道に併走して九州自動車道が通過、山川パーキングエリアには高速バスが停まり、福岡市と1時間で結ぶ。主産業は農業で、ミカンと米のほか、タケノコブドウなどを産し、とくにミカンは山麓(さんろく)地帯を中心に県内有数の産地である。中心集落の原町(はらまち)は宿場町、野町(のまち)は市場町で、柳河藩(やながわはん)牧場のあった御牧山(おまきやま)は景勝地。

[石黒正紀]


山川(菓子)
やまかわ

干菓子の白雪糕(はくせっこう)の一種で、島根県松江市の名菓。1806年(文化3)隠居して不昧(ふまい)と号した松平治郷(はるさと)(松江藩主)が、江戸・品川の菓子司伊勢屋越後大掾(いせやえちごだいじょう)につくらせた軟落雁(らくがん)で、「散るは浮き散らぬは沈むもみじ葉の 影は高尾の山川の水」(不昧)が、紅白紅三段の押し物に表現されており、菓子暦(ごよみ)では11月の菓子とされる。この山川は伊勢屋で修業した面高屋道順(おもだかやどうじゅん)により松江にもたらされたが、明治維新でとだえ、1887年(明治20)に風流堂初代の内藤竹次郎により復活した。いまは紅白二段の姿になっている。

[沢 史生]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「山川」の意味・わかりやすい解説

山川
やまかわ

徳島県北部,吉野川下流の南岸にある地区。旧町名。 1955年山瀬町,川田 (かわた) 町,三山 (みやま) 村の一部が合体して発足。 2004年 10月,鴨島町,川島町,美郷村と合併し,吉野川市となる。中心地区の川田は吉野川支流の川田川の谷口にあり,南北朝時代細川氏が下館を築き市街地を造成したことに始まる。江戸時代には南西部にある高越山 (1123m) の含銅硫化鉄鉱が開発され,和紙の製造も発達した。現在も伝統産業として和紙の製造は継続しているが,鉱山は 1969年閉山された。主産業は農業で,米や果樹の栽培,養蚕も行なわれる。古刹高越寺には重要文化財の絹本著色仏涅槃図があり,船窪 (ふなくぼ) のオンツツジ群落 (天然記念物) がある。付近一帯は土柱高越県立自然公園に属する。

山川
やまがわ

鹿児島県南部,指宿市南東部の旧町域。薩摩半島の南東端に位置する。1930年町制。2006年指宿市,開聞町と合体して指宿市となった。指宿カルデラ地域に属し,鹿児島湾の湾口に臨む港は火口壁東半が崩壊して浸水し形成された天然の良港で,古くから風待ち港,江戸時代は琉球貿易などの拠点であった。サツマイモ,葉タバコ,ナタネなどを産し,漬物原料のダイコン,およびグラジオラスなど花卉栽培が盛ん。またかつお節加工も行なわれ,枕崎市とともに県下の二大産地。成川温泉,鰻温泉などの温泉があり,火口湖鰻池,南端の長崎鼻とともに南薩観光ルートの一中心。霧島錦江湾国立公園に属し,国指定特別天然記念物のソテツ自生地がある。

山川
やまかわ

福岡県南部,みやま市東部の旧町域。筑肥山地の西端にあり,熊本県に接する。 1907年万里小路村,富原村,竹海村の3村と緑村の一部が合体して山川村となり,1969年町制。 2007年瀬高町,高田町と合体して,みやま市となった。丘陵地が広く,主産業はミカン栽培で,タケノコも産する。

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普及版 字通 「山川」の読み・字形・画数・意味

【山川】さんせん

山河。〔詩、小雅、漸漸之石〕漸漸たる石 維(こ)れ其れ高し 山川悠なり 維れ其れ勞す 武人東征す するに皇(いとま)(遑)あらず

字通「山」の項目を見る

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旺文社日本史事典 三訂版 「山川」の解説

山川
やまかわ

鹿児島県薩摩半島の南東端,鹿児島湾口に位置する港町
古くは山川津として知られ,室町時代から江戸初期にかけて日明貿易寄港地,南蛮貿易,島津氏の琉球・南洋貿易の拠点として繁栄。江戸時代以降衰微した。

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改訂新版 世界大百科事典 「山川」の意味・わかりやすい解説

山川(徳島) (やまかわ)


山川(福岡) (やまかわ)


山川(鹿児島) (やまがわ)

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デジタル大辞泉プラス 「山川」の解説

山川

島根県松江市の名物菓子。糯米(もちごめ)で作った寒梅粉に砂糖を混ぜ淡い塩味をきかせた落雁。紅白の2種類がある。日本三大銘菓のひとつといわれる。

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