いわゆる「しもやけ」で、寒冷による血行障害が原因で起こります。
寒冷にさらされた直後には静脈と動脈が収縮していますが、そのあとに動脈は静脈よりも早く拡張します。そのため、動脈は拡張しているのに静脈は収縮している状態が起こり、組織内に
手の指、足の指や耳が赤くはれます。患部が全体に紫がかった赤色になって
特別な検査は必要ありません。
ビタミンEなどの血行促進薬を内服すると効果的です。また、ヘパリノイドなどの血行促進外用薬も有効です。
寒冷に対する対策として、厚い靴下をはく、手袋や耳当てをするなどの注意が必要です。入浴時にマッサージをしたり、患部をお湯と水で交互に刺激することもよいでしょう。
堀川 達弥
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
いわゆる「しもやけ」のことで、気温3℃前後の際にもっとも生じやすいといわれる。一定の素因(体質)のある人に、凍結するほどでない寒冷刺激のため、皮膚の血管が収縮し血流がうっ滞する。この状態においては、動脈側の血管収縮は長く続きにくく、しばらくたつと血管が拡張してしまい、血液の成分が漏出し、赤く腫(は)れるために生じる。自覚症状としてかゆみがあり、暖まるとその激しさを増す。学童および思春期に好発し、男性に比し女性に多くみられ、晩秋から初冬にかけてと、終冬から早春にかけての季節の変わり目に頻発する。好発部位は凍傷と同様で、手足の指の末端、手足の背面、耳たぶ、鼻の頭、頬(ほお)などの末端露出部位である。症状としては、紫藍(しらん)色の浮腫(ふしゅ)性潮紅(ちょうこう)を主徴として樽柿(たるがき)様の外観を示す樽柿型と、皮膚面よりやや隆起し爪(つめ)の広さほどの大きさの淡紅色ないし暗赤色の境界明確な紅斑(こうはん)の散在を主徴とし、ときに水疱(すいほう)を伴う多形滲出(たけいしんしゅつ)性紅斑型がある。樽柿型は温度較差が大きいときに生じやすく、幼小児に多くみられる。多形滲出性紅斑型は低温に長時間さらされたときに生じやすく、年長者に多くみられる。
凍瘡にかかりやすい人は、血行を妨げないように大きめの手袋、靴下などを早めに用いて保温に努め、手足のマッサージ、温浴などを行って血行をよくする。寒気とともに湿気が凍瘡を生じやすくするので、水仕事や雪遊びのあとは乾いた布で水けをよくふき取る。靴の中が湿らないようにすることもたいせつである。ビタミンEなど血行をよくする内服薬および外用薬が有効である。
[伊崎正勝・伊崎誠一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…医学的には凍瘡(とうそう)pernioという。手足,耳たぶ,鼻の先端,ほおなどが寒気に繰り返しさらされ,末端部の血液循環障害が起こるために発生する。…
…低温による損傷の一種。低温による損傷には,(1)局所の循環障害による凍瘡(とうそう)(霜焼け),(2)組織の凍結による凍傷,および(3)全身的反応による凍死がある。損傷を起こす温度は必ずしも氷点以下とは限らず,湿度,風速,金属など熱良導体との接触の有無などにも左右され,また個体の栄養状態,年齢,疲労度,低温にさらされる時間も関与してくる。…
※「凍瘡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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