改訂新版 世界大百科事典 「青竜刀形石器」の意味・わかりやすい解説
青竜刀形石器 (せいりゅうとうがたせっき)
縄文時代の磨製石器の一種。扁平な半円形の刃部の一端がのびて,棒状の柄になっている。長さ15~38cm,厚さ2cm弱と大型である。中国の青竜刀に似た形状から名付けられたが,青竜刀が半円形の弧状の縁に刃がつくのに対して,青竜刀形石器はやや内反りの直線縁のほうを薄く作り,弧状の縁には溝を刻み,柄の近くに突起をつけることもあり,その内容は青竜刀と異なる。時期を追って半円形部が細身になる傾向がみられ,棟(むね)部に溝のある晩期の石刀へと変化した可能性が強い。縄文時代中期に製作が始まり,中期末から後期初頭が最盛期で,以後衰退する。分布は青森県を中心に,北海道南西部から山形・宮城県までで,時期は異なるものの前・中期に栄えた円筒土器文化圏の範囲と一致する。遺跡から複数出土することはまれであり,発見例も60余例と少なく,実用品ではなく集落全体の祭祀に用いたと考えられている。
執筆者:泉 拓良
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