日本大百科全書(ニッポニカ) 「青竹ずし」の意味・わかりやすい解説
青竹ずし
あおたけずし
大分県宇佐(うさ)市安心院(あじむ)地方で多くつくられる郷土料理。すしは元来、材料を大気中に放置しておき、自然に発酵させてつくっていたが、中国では熱い飯を加えて発酵を促進する方法が早くから用いられていた。日本にも平安時代初期にこの方法が取り入れられてきたが、それと同じ考え方の発酵促進法を加えたのが青竹ずしである。アユ釣りに行くとき、アユが楽に入る青竹を節から切り、長さ25センチメートルぐらいにした筒を20個ぐらいつくって腰の周囲につり下げる。筒の中に少量の酢と塩を入れておき、釣ったアユを頭を下にして筒の中に入れると、体温と太陽熱で夕方までに軽く自然発酵をおこし酸味が生ずる。熊本地方でもつくられている。
[多田鉄之助]