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郷土料理 きょうどりょうり

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

郷土料理
きょうどりょうり

地方特有の料理。そのほとんどが,台所,いろり端,ときには野外でいつとはなしにつくられ,現在に伝わったもの。日本はその地理的条件により食物材料が豊富なため,種類が多い。また封建時代が長く,他国との交流のなかったことも郷土料理の発達を促した。

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デジタル大辞泉の解説

きょうど‐りょうり〔キヤウドレウリ〕【郷土料理】

その地域に特有の料理。特産物を材料にしたり、伝統的な調理法を用いたりするもの。

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうどりょうり【郷土料理】

ある地方に特有で伝統的な料理。しかし,まったく独特の料理というのはまれで,多少の相違はあっても他の地方でも行われているものが多い。現在一般に郷土料理と呼ばれているものは,次のように大別される。(1)特産品を材料とするもので,秋田のハタハタ,三陸のホヤ,富山のホタルイカ,佐賀のムツゴロウなどの料理がある。(2)その地方で多産,あるいは良質の産があり,それを材料とするもの。北海道のサケ,ニシン茨城のアンコウ,北陸・山陰のカニ,京阪のハモ,岡山のママカリ,広島のカキ,関門のフグといった魚貝類,および長野のソバ,京都のタケノコといったものの料理がある。

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大辞林 第三版の解説

きょうどりょうり【郷土料理】

ある地方特有の素材や調理法による料理。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

郷土料理
きょうどりょうり

ある地方特産の食品を用いての料理をいい、しかもその産地でつくり味もよいことを原則とする。しかし、なかには消費地が移動して他地方になっているもの、生産地が移動しているものも少なくない。たとえば、東京で関西料理や北海道料理を試みたり、また逆に特産名産のものが種々の原因で減少したために、他地方から同種のものまたはかわりのものを運び、その土地の産物としているなどである。江戸時代の後期、江戸で創製された握りずしは、初め東京湾の魚貝類のよさが特色とされていたが、いまは材料の産地は問わず材料のよさと技術のよさをいうだけで、東京の郷土料理としての見方は少なくなっている。そばも同じで、江戸時代は主として奥多摩地方産のそば粉を用いたが、いまは他地方産になって、東京の郷土料理としての考え方は少なくなっている。田楽(でんがく)は、田楽舞という豊年祈願の踊りの形が、豆腐に串(くし)を刺し変わりみそをつけて焼いたものに似ているので、みそ田楽の名ができた。みそ田楽の変形みそおでんは江戸の後期に「おでん」の名となり、1918、19年(大正7、8)ごろに「関東煮(だき)」の名で関西に紹介された。関西風になったものがおでんの名で広くつくられているが、東京名物の見方は少なくなっている。雑煮は「直会(なおらい)」に起源をもち、京都から全国に普及し、各地各様の郷土料理となったものである。みそ仕立てと澄まし仕立ての二つに大別できることと、各地の産物を加えること、また餅(もち)を焼くか煮るかの区別により各地各様の雑煮が数多くある。
 次に郷土料理発祥の原点を考察してみると、多くは大量の特産物の消費保存のためにくふうされている。塩竈(しおがま)の笹(ささ)かまぼこはいまは仙台が主産地になっているが、元来、塩竈でヒラメが著しい大漁で、その処理のために、ヒラメの身をほぐし木の葉形にまとめて焼き目をつけたのが始まりである。いまは他地方からの魚を用い、大量生産法により仙台が特産地になっている。特産の材料だけでなく、他地方から料理用具その他を取り寄せて郷土料理にしているものに、秋田のしょっつる鍋、島根の鴨鍋(かもなべ)がある。両者とも貝焼(かや)きというが、それは前者はホタテガイの貝殻を、後者はアワビの貝殻を鍋がわりに用いるからで、他地方からのものである。移植することにより原産地より優秀なものができたり、生産量が多くなり、それを材料とする郷土料理が生まれた例も少なくない。かんぴょうは滋賀県水口(みなくち)が名産地であるが、1712年(正徳2)藩主鳥居忠英(ただてる)が栃木県都賀(つが)郡に転封の際、その種子を移植したのが地味に適して現在のように宇都宮名物となった。ハクサイは明治初期に渡来し、さらに1907年(明治40)ごろに優秀種が再渡来しているが、これが愛知ハクサイ、仙台ハクサイなどを産出し、それを利用する郷土料理が生まれている。豆腐の製法は中国伝来のものであるが、日本のダイズとりわけ大和(やまと)地方産のものは豆腐原料に好適であり、そのために京都には数々の豆腐料理ができている。
 江戸の初期に日本は鎖国を宣言し、他国との国交を断絶していたが、長崎だけには特定の国に限り入港を認めていた。ここに生まれたのが長崎の卓袱(しっぽく)料理である。博多(はかた)水炊きは福岡生まれの郷土料理であるが、その根元は古代中国の栄養食羊(ようかく)の応用料理とみるならば、これも交易により生まれたものといえよう。江戸の中期に主として関西地方から北海道へ雑貨を運んだ船が、帰路にニシン、サケ、タラ、コンブなどを積んできた。これらを材料に種々の郷土料理がつくられた。京都特産のエビイモと棒ダラが結び付いて「いもぼう」という名物料理となり、同じく京都名物の「にしんそば」は北海道からのニシンとそばの取り合わせである。大阪名物の昆布の加工品も同じルートのものである。また、交通量の多い沿道にも郷土料理が育っている。東海道五十三次は寛永(かんえい)年間(1624~44)に開かれたが、丸子(まりこ)の麦飯とろろとか、桑名(くわな)の焼き蛤(はまぐり)のようにいまに残る有名郷土料理が数々ある。明治中期から蒸気機関車による鉄道が開通するにしたがい、その沿線に特色ある駅弁や郷土料理が開発され、有名品としていまに知られているものが少なくない。
 現在の郷土料理のなかには、材料が著しく少なくなるとか、全然なくなったもので、他地方からの代用品によってまにあわせてその名称だけ残したものもある。一方、秋田のハタハタ、富山のホタルイカ、大分のシロシタガレイ、佐賀のムツゴロウ、筑後(ちくご)川に梅雨時にしかみられない珍魚エツ、京都のスグキ、鹿児島のサクラジマダイコンなど、代用品の入手困難なものを利用する郷土料理は、その価値が高められている。[多田鉄之助]
『樋口清之・柳原敏雄監修『ふるさと日本の味』全10巻(1982・集英社) ▽『日本の食生活全集』全50巻(1984~93・農山漁村文化協会) ▽多田鉄之助著『郷土料理 東日本編・西日本編』(旺文社文庫)』

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