良性腫瘍(読み)りょうせいしゅよう(英語表記)benign tumour

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

良性腫瘍
りょうせいしゅよう
benign tumour

全身 (生命) への影響の少い,発育が膨張性であって,浸潤性でなく,その速度がゆるいか,停止する傾向をもち,転移や再発を起すことのまれな腫瘍をいう。悪性腫瘍対語。腫瘍実質が上皮性の乳頭腫腺腫嚢腫などと,非上皮性の線維腫筋腫血管腫脂肪腫などの2群に分ける。まれではあるが,良性腫瘍が悪性腫瘍に変化することもある。また,良性腫瘍といわれてきたものには,真の腫瘍かどうか疑わしく,むしろ反応性の病変と考えられるものも含まれていると思われる。

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知恵蔵の解説

良性腫瘍

細胞が増殖してこぶのような腫瘤をつくるが、組織を破壊したり転移しないものを良性腫瘍という。これに対し、組織を破壊し転移するものが悪性腫瘍(malignant tumor)。代表的な良性腫瘍がポリープで、粘膜の細胞が増殖し、表面から盛り上がるように腫瘤をつくるものの総称。細い茎によって粘膜表面とつながっていることもある。大腸のポリープの場合はがん化する可能性が高く、内視鏡を用いた切除の対象になる。

(黒木登志夫 岐阜大学学長 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

りょうせい‐しゅよう〔リヤウセイシユヤウ〕【良性腫瘍】

腫瘍のうち、発生した場所でのみ緩慢に増殖し、浸潤転移・再発しないもの。比較的生命に危険はない。

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栄養・生化学辞典の解説

良性腫瘍

 組織の新生物であるが,転移しない,侵潤的な増殖をしない,移植性がない,無制限に増殖して宿主を死に至らしめない,などの特徴のあるもの.悪性腫瘍の対語.

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大辞林 第三版の解説

りょうせいしゅよう【良性腫瘍】

腫瘍のうち、発育が緩やかで成長に限界があり、浸潤や転移を起こさないもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

良性腫瘍
りょうせいしゅよう

良性の特徴をもつ腫瘍の総称。腫瘍(新生物neoplasm)とは、体の中に生じた異常な細胞が本来の制御を逸脱して、自律的に増殖し続けることによって生じる腫瘤(しゅりゅう)、病変をさす。腫瘍は良性のものと悪性のものとに大別され、両者を比較すると、良性腫瘍には次のような特徴が認められる。
(1)良性腫瘍は悪性腫瘍に比して、正常な細胞、組織との形態の変化の度合い(異型性)が弱い。
(2)良性腫瘍は悪性腫瘍に比して発育の速度が緩徐で、悪性腫瘍がしばしば再発するのに対して、良性腫瘍では再発はほとんど認められない。
(3)組織や細胞の間に浸潤して広がる「浸潤性発育」の形をとることが多い悪性腫瘍に対して、良性腫瘍はもっぱら周囲の組織を押しのけて増殖する「膨張性(拡張性)発育」の形をとる。
(4)悪性腫瘍は、原発部位から離れた場所に運ばれて新たに発育すること(遠隔転移)を特徴とするが、良性腫瘍では転移は起こらない。
(5)悪性腫瘍は、発生した臓器ばかりでなく全身に重篤な影響を及ぼすが、良性腫瘍では全身に与える影響はしばしば軽度である(ただし、脳など生命維持に重要な臓器に発生した場合には生命にかかわることもある)。[渡邊清高]

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世界大百科事典内の良性腫瘍の言及

【癌】より


【癌の種類】
 異常な細胞が過剰に増生してつくる組織の塊を,腫瘍tumorあるいは新生物neoplasmという。腫瘍のうち,浸潤や転移を起こさず,成長にも限界があるものを良性腫瘍,そうでないものを悪性腫瘍という。悪性腫瘍はすなわち癌である。…

【腫瘍】より

…異常な細胞が過剰に増生してできる組織の塊をいう。このうち浸潤や転移を起こさず,成長に限界のあるものを良性腫瘍,そうでないものを悪性腫瘍といい,後者が癌である。腫瘍の種類,発生機構,性状など,詳細については〈〉の項を参照されたい。…

※「良性腫瘍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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