改訂新版 世界大百科事典 「順序集合」の意味・わかりやすい解説
順序集合 (じゅんじょしゅうごう)
ordered set
実数の大小関係≦は次の性質をもっている。(1)a≦a(反射律),(2)a≦b,b≦cならば,a≦c(推移律),(3)a≦b,b≦aならば,a=b(反対称律)。これを一般化して,集合Mに関係≦が定まっていて,上記(1)(2)(3)の性質をもつとき,Mは順序集合であるという。一つの集合Sを固定して,Sの部分集合A,Bについて,ABのとき,A≦Bと決めれば,Sの部分集合全体の集合Tは順序集合になる。しかし,例えばδの相異なる二元s,tを取って,A={s},B={t}とすれば,ABでもBAでもない。すなわち,A,B∈Tについて,A≦B,B≦Aのどちらも成立しないことがある。実数の大小関係のように,かってな二元a,bを取ってきたとき,a≦bかb≦aのどちらかが成立する順序集合を全順序集合と呼ぶ。順序集合Mの部分集合Nについて,a∈MがNの上界であるとは,すべてのb∈Nについて,b≦aが成立することである。部分集合Nに上界があるとき,Nは上に有界であるという。Nの上界全体の集合N′に最小元c(すべてのa∈N′について,c≦a)があれば,それをNの上限と呼ぶ。上のb≦aをa≦bと置きかえて,同様に下界,下に有界,下限が定義される。
執筆者:丸山 正樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報