預作(読み)あずかりさく

精選版 日本国語大辞典 「預作」の意味・読み・例文・類語

あずかり‐さくあづかり‥【預作】

  1. 〘 名詞 〙 小作一種古代末期から中世荘園制において、領主から土地を預かり、地代などを納めて耕作し、または経営すること。
    1. [初出の実例]「今為施主之願、寺家領掌件田、尋有縁田刀、仰預作之由」(出典:百巻本東大寺文書‐四五・天慶三年(940)五月六日・筑前国観世音寺牒案)

預作の補助注記

後には、一般の小作をいうようになったと思われ、小作することを「あずかる」、小作農を「預百姓(あずかりびゃくしょう)」という。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の預作の言及

【小作制度】より

…また小農生産力の上昇は手作大経営を縮小させ,その分を小作に出して,いわゆる第2次名田小作の形態を発生させた。【安孫子 麟】
[近世小作制度の諸相]
 近世の小作については最も体系化された地方書である《地方(じかた)凡例録》では,〈自分所持の田畑を居村・他村たりとも他の百姓へ預け作らせ,又は田畑を質地に取り,元地主にても別人にても小作させ,年貢の外に余米又は入米などゝと云て,壱反に何程と作徳を極め作らするを云,元来は佃と云ものなれども,世俗小作と唱へ来る〉と述べており,預作,下作,掟作,請作,卸作,掛け放ちなどとも呼ばれた。小作地の大部分は田畑であるが,屋敷地,山林などの地目も対象となり,一部の地域では牛馬などの家畜も小作の対象となっている。…

※「預作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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