食い合せ(読み)くいあわせ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「食い合せ」の意味・わかりやすい解説

食い合せ
くいあわせ

2種類以上の異なる食品を同時に食べて、不消化、中毒症状などをおこすことをいう。このような言い伝えは平安時代からあったという。また江戸時代に貝原益軒によって著された『養生訓(ようじょうくん)』には「同食の禁忌」という項があり、食品が列挙されている。昔からの言い伝えに、たとえば、そばとタニシウナギと梅干し、ジャガイモとはっか、うどんとスイカ、ドジョウとろろサケフグアカガイツクシ、スイカとてんぷら、カニと氷水、タニシとこんにゃく、キュウリ油揚げコイシソビワとそうめん、シャコと焼酎(しょうちゅう)、マツタケアサリニシンクワの実、タコとゴマ、サザエとサメなど数えきれないくらい多くある。このなかには熱いものと冷たいもの、また消化を鈍らせるものどうしといえるものもあろう。しかし、これら二つ以上の食品をいっしょに用いても有毒物を生ずることはないという。昭和初期の料理研究家村井政善は、食い合わせるとよくないといわれるものを数多く試食し、中毒のおそれのないことを身をもって証明し、論文を発表した。

多田鉄之助

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android