日本歴史地名大系 「駿国雑志」の解説
駿国雑志
すんこくざつし
四九巻七七冊 阿部正信著
成立 天保一四年
写本 静嘉堂文庫・静岡県立中央図書館ほか
解説 文化一四年に駿府二加番を命じられた阿部正信が余暇を利用して調査収集した資料を、江戸に戻ってから編集して完成させた駿河国の地誌。榊原長俊の「駿河国志」、楢村惟明「駿河国志補遺」を基に、それを補う形で編集は進められ、天保九年には火災にあって草稿を焼失したが、同一四年に完成。内容は郡郷庄名・村名・宿駅・年中行事・貢租・城郭・名所・怪異・器財・書画・古文書・伝記・寺社などの事項別に編纂されている。首巻の引用書目には六二六点があげられているが、それ以外にも多くの書物が引用されている。二五〇余の図版が挿入されていて貴重。正信には「駿国雑志」の素稿ともいうべき「駿河随筆」(二巻)・「駿河随筆採録」がある。
活字本 「駿国雑志」(明治四二年―昭和一〇年、同五一年・五二年)
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報