…それゆえ,ある人にとっては好ましい音楽であっても,別の人にとっては耐えがたい騒音であることがしばしば起こりうる。騒音の影響としては不快感(うるささ),聴取妨害(マスキング),睡眠妨害,交感神経系の緊張に由来する諸変化(末梢血管の収縮,血圧の上昇,胃の収縮回数・収縮の強さの減少等),内分泌系(副腎皮質ホルモン,性ホルモン等)のアンバランス,免疫細胞の1種であるナチュラルキラー細胞(発癌防御に関与)活性の低下,ならびに聴力への影響(騒音性難聴)がよく知られている。 騒音は,地方公共団体への公害に関する苦情のうちではもっとも多数を占めており,1995年度は1万4359件で,工場・事業場騒音が最も多く(36.8%),建設作業騒音(21.8%),営業騒音(14.5%),家庭生活騒音(9.2%)がそれに次いでいる(1997年版環境白書)。…
…両者の大きな相違は,内耳(蝸牛)が障害された内耳性難聴では,音が大きく響いて困るというレクルートメント現象(補充現象)を示すことである。内耳性難聴は過大な音を突然きいたために起こる音響外傷,長年月の間,強大音にさらされたために起こる騒音性難聴(職業性難聴ともいう),ストレプトマイシンに代表される聴器毒による中毒性難聴,めまい発作を伴うメニエール病,原因不明であるが突然に高度の難聴をきたす突発性難聴などがその代表例である。難聴の程度はある特殊な周波数帯域,たとえば,4000Hzのみが低下する場合から全聾になるものまで多種多様である。…
※「騒音性難聴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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