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騒音 そうおんnoise

翻訳|noise

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

騒音
そうおん
noise

好ましくない音の総称。公害に関する苦情で騒音に関するものは多く,その被害の態様は,(1) 80ホンをこえるような特に強い音の連続的発生により,生理的,器官的に難聴などの障害や高血圧症などを生じる場合,(2) 安眠を妨げ,いらいらや不安感など心理障害を引起す場合,(3) 仕事や勉強などを阻害して,能率の低下などを引起す場合,(4) 会話など日常生活の妨害をする場合,に分けられる。このほか,不快な音色もある。これを発生源別に分けると,(1) 工場騒音,(2) 建設工事騒音,(3) 自動車騒音,(4) 鉄道騒音,(5) 航空機騒音,(6) 近隣騒音,になる。工場騒音については規制などによりかなり改善されているが,交通関係騒音や近隣騒音は,紛争が多い。対策として,騒音規制法で,(1) 工場,事業場の音源である機械類の騒音低減,建物等の遮音壁建造など吸音,遮音設備,工場,事業場の集団化,(2) 建設工事機械及び工法の騒音低減化,作業時間制限,(3) 自動車構造の改造による騒音低減,道路の改造,などの規制を加えている。騒音量は,デシベル dBまたはホン phonで表わす。近時,約 20Hz以下の可聴域外騒音 (超低周波騒音) が不快を与えることがあるとして,この解明が急がれている。

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知恵蔵の解説

騒音

快適な生活環境を阻害する騒音や振動のこと。騒音発生源は、自動車、鉄道、航空機など交通機関、工場・事業場、建設作業、近隣騒音など。振動発生源は、道路交通、新幹線鉄道、工場・事業場、建設作業など。騒音は、不快感、聴取妨害、睡眠休養妨害といった感覚的・精神的・心理的な被害と、聴力損失、頭痛、胃腸障害といった身体的被害を起こす。振動も、睡眠妨害、不快感などの心理的な被害を起こす。自動車騒音では尼崎国道43号線訴訟、鉄道騒音・振動では名古屋新幹線訴訟、航空機騒音では大阪空港訴訟、横田・厚木・嘉手納・普天間・小松などの軍事基地騒音訴訟がある。騒音規制法や振動規制法に基づき土地利用別・時間帯別環境基準が定められているが、発生源対策は不十分であり、沿道や沿線では基準達成率が低い。近年、耳に聞こえないほどの低周波空気振動が人体に影響を及ぼすという指摘があるが、未解明。

(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

そう‐おん〔サウ‐〕【騒音】

騒がしく、不快感を起こさせる音。また、ある目的に対して障害になる音。計量的には80デシベル以上の大きな音。「騒音防止」

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百科事典マイペディアの解説

騒音【そうおん】

好ましくない音。たとえば音声・音楽等の伝達を妨害したり,耳に苦痛・傷害を与えたりする音。一般に大きい音,音色の不快な音であるが,何を騒音と感じるかは個人の心理・生理・生活条件に影響される。
→関連項目環境基準環境破壊公害公害対策基本法公害病雑音産業公害生活公害低公害車都市公害

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世界大百科事典 第2版の解説

そうおん【騒音】

騒音とは好ましくない音をすべて総称して使用する用語である。アメリカ規格協会(ASA)では,〈noise is any undesired sound〉と定義し,アメリカ科学技術局(OST)も〈unwanted sound〉としている。一方,日本のJISでも〈望ましくない音。例えば,音声,音楽などの伝達を妨害したり,耳に苦痛,傷害を与えたりする音〉と定義している。このJISによる騒音の定義の後半では,例示として,やや客観的な記述が示されているが,もともと騒音という概念は,主観的な感覚を表現するものであるから,客観的な物理量でもってこれを定義することはきわめて困難である。

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大辞林 第三版の解説

そうおん【騒音】

やかましい音。うるさいと感じられる音。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

騒音
そうおん
noise

一般に人間にとって好ましくない音を騒音という。これはかなり主観的な定義であり、ある人にとっては好ましい音であっても他の人には騒音と感じられることもある。しかしながら、最近の都市人口の増加、交通機関の過密化、建設工事の増加などにより、大部分の人にとって騒音と感じられる音の発生が多く、大きな社会問題となっており、対策が必要とされている。[比企能夫]

騒音の測定

騒音の大きさは騒音計によって測定される。これはマイクロホンによって騒音を検出し、その音の大きさのレベルを指示計で示すものである。この際、人間の聴覚の感度は音の振動数によって異なるので、そのような特性をもった聴感補正回路を通し、人間の感覚に近い騒音の大きさが得られるようになっている。聴感補正回路の特性の規格は国際的に定められており、それで計られたものを騒音レベルといい、単位はデシベル(dB)である。[比企能夫]

騒音対策

騒音を減らすには、騒音源自体からの発生を減らすことや、騒音源と人間との間に隔壁などを設け、伝播(でんぱ)の途中で遮断するなど、さまざまな努力がなされている。いずれにしても一般的な方法はなく、個々の騒音源別に研究されなければならない。また、同じ音源でも気象条件や昼夜の別で騒音の大きさは異なる。[比企能夫]

騒音の影響

騒音の人間生活に対する影響を明確にすることは非常に困難なことであるが、便宜上、生理的影響、日常生活への影響、社会的影響に大別して考えることができる。
 生理的影響としてもっとも顕著なものは、聴力への影響である。高レベル騒音にさらされると一時的難聴になったり、ひどいときには永久難聴になる危険がある。長時間、騒音の激しい労働環境に働く人に対して、聴覚保護のための許容基準が定められている。また、いわゆる「騒音」ではないが、音楽などをヘッドホンやイヤホンで楽しむためであると思われる「聴力異常」の若者が増加しているという報告もある。聴覚のみならず、消化器、呼吸器、循環器、神経系などあらゆる生理機能に対しても、騒音は一時的あるいは永久的障害を与えるという調査結果もある。
 日常生活では、音響情報の伝達が阻害されることへの心理的不快感、注意の集中を妨げられることによる作業能率の低下、休息や睡眠が妨げられることなどの影響がある。
 社会的には、騒音の激しい幹線道路沿いや空港周辺では土地利用が限定され、地価が低下したり、また家畜などにも影響し、牛乳や鶏卵の生産が低下するなどの問題がある。今日では、たとえば、道路建設、鉄道建設など、いかに公共性の高いものであっても、騒音問題を避けて通ることはできず、事前にその影響を調査し、またその対策法などを検討することが義務づけられる場合が多くなっている(「環境アセスメント」の項参照)。[古江嘉弘]

耳の感度と騒音レベル

人間の耳は、およそ20ヘルツ(Hz)から2万ヘルツの周波数の音を聴くことができるといわれているが、その感度は音の大きさあるいは周波数によっても異なる。ある音の大きさを、これと同じ大きさに聴こえる1000ヘルツの音を基準にして表した曲線を等感(音)曲線とよぶ。これは多数の人による測定の平均であり、人間の平均的な耳の感度と考えてよい。低い周波数の音ほど聴こえにくく、2000~4000ヘルツの音がもっともよく聴こえ、さらに高い周波数の音はふたたび聴こえにくくなるようすが示されている()。
 一般に騒音には、種々の周波数の音が種々の大きさで同時に含まれており、聴こえ方も複雑であるが、その大きさを一つの数値で表すため考案されたのが「騒音レベル」という量である(単位=デシベル、dB)。0デシベルはやっと聴き取れる程度の大きさであり、またたとえば、昼間の繁華街での騒音レベルは80デシベル程度である。騒音レベルが130デシベルを超えると、大きな音というより、耳に痛みを感ずるようになる。[古江嘉弘]

許容騒音レベル

騒音はそれを聴く人の主観によって判断されるものであるが、社会生活において、まったく音を出さないというわけにはいかないため、どれくらいの大きさの騒音レベルなら許容できるかの目安が必要である。この許容騒音レベルは、当然、時・場所・状況により異なる。つまり、睡眠時の許容騒音レベルは低くなければならないし、食事中なら多少高くてもかまわないであろう。このような観点から、種々の室内での騒音の許容レベルの例がに示されている。
 なお、聴きたい音、注目している音以外のすべての音のことを「暗騒音」という。たとえば、会話を楽しんでいるときに聴こえてくるテレビの音、逆にテレビを見ているときに聴こえる他人の話し声などである。許容騒音レベルは許される「暗騒音レベル」のことである。
 情報伝達という観点からは、暗騒音レベルは小さいほどよいといえるが、あまり小さすぎると、場合によっては心理的に圧迫感を覚えたり、落ち着けなかったりする。そのため、適当な大きさの音楽を用いて、逆に暗騒音レベルをあげることがある(バックグラウンド・ミュージック、BGM)。[古江嘉弘]

建物の遮音計画

従来の遮音計画では、主として外部あるいは隣室から侵入する標準的な騒音を仮定し、それを許容騒音レベル以下にすべく窓や壁などの材料あるいは構造をくふうするという方法がとられてきた。ところが、実際にその建物内で生活する個人の要求水準にはかなりの隔たりがある。たとえば音に非常に敏感な人とまったく無頓着(むとんちゃく)な人とでは、静けさの要求に40デシベルもの差がある。また音楽家やステレオマニアのように自室で出したい音の程度が80デシベル以上である人がいるのに対し、一方50デシベル以下しか音を出さないような生活をする人もいるなど多様である。そのため、とくにマンションなど集合住宅で思わぬトラブルが生じることがある。
 このような住人の多様性を考慮して、事前に、たとえば「隣戸を意識しないで快適な生活ができる」あるいは「互いに気をつければ支障ない」程度の仕様であるというような「遮音等級」を明示できるような計画法が推奨されている。[古江嘉弘]
『日本音響材料協会編『騒音振動対策ハンドブック』(1982・技報堂出版) ▽日本建築学会編『建築の音環境設計』(1983・彰国社) ▽日本騒音制御工学会編『建築設備の騒音対策』全3冊(1999・技報堂出版) ▽一宮亮一著『わかりやすい静音化技術――騒音の基礎から対策まで』(1999・工業調査会) ▽前川純一・森本政之・阪上公博著『建築・環境音響学』第2版(2000・共立出版) ▽久野和宏編著、林顕效・三品善昭・大石弥幸・野呂雄一・龍田建次他著『騒音と日常生活――社会調査データの管理・解析・活用法』(2003・技報堂出版) ▽前川純一・岡本圭弘著『騒音防止ガイドブック――誰にもわかる音環境の話』改訂2版(2003・共立出版) ▽日本計量振興協会編『改訂・騒音と振動の計測』(2003・コロナ社) ▽日本音響学会編、橘秀樹・矢野博夫著『環境騒音・建築音響の測定』(2004・コロナ社)』

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世界大百科事典内の騒音の言及

【音】より

…また20Hz以下の振動数の音を超低周波音infrasoundと呼んでいる。この超低周波音はやはり人間の耳には聞こえない音であるが,ふつうの騒音と違った形で環境問題の一つになっている。このように空気中だけでも,人間の耳に聞こえるのは非常に限られた範囲の音であるが(ただし,ここで述べているのは定常音についてであって,非定常音では5万Hz程度まで知覚できるといわれる),さらに液体や固体の中を伝わる弾性波には多くの種類がある。…

【地下鉄道】より

… 軌道は,運転頻度の高い列車を対象に,建設費の節減と保守作業の軽減を図るために,軌道構造の強化,簡素化が行われており,道床をコンクリートでつくったり,あるいはレールを道床に直接締結する方式などを採用している場合が多い。また後述するが,電車通過時の騒音,振動対策もとられている。日本の地下鉄の軌間は,狭軌(1067mm)と標準軌(1435mm)がほとんどであるが,東京都営新宿線の1372mmや札幌のゴムタイヤ軌道(南北線,ゴムタイヤ中心間隔2300mm)もある。…

※「騒音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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