改訂新版 世界大百科事典 「鳥巣動物群」の意味・わかりやすい解説
鳥巣動物群 (とりのすどうぶつぐん)
ジュラ紀後期(1億5000万年前ごろ)に日本列島の太平洋岸に発達したサンゴ礁をとりまく環境に生息していた海生の動物群。多様な石灰藻,暖海を示す造礁性サンゴ,層孔虫,ネリネア類を含む腹足類,二枚貝,アンモナイト,腕足類,ウニ,ウミユリなどからなる。高知県佐川地方の鳥巣を模式地とする鳥巣層群は約300mの礁性の石灰岩(黒色で油臭がある)のレンズを多く含む地層で,同様の堆積物と動物群は熊本県坂本地方から四国南部,紀伊半島中部を経て東京都五日市地方に至る狭長な地帯に分布し,さらにその延長は福島県相馬地方に達している。鳥巣動物群には当時の北極区を特徴づける要素は含まれておらず,日本列島の大陸側に一時堆積した海成層(手取層群下部)とも共通種はほとんどない。他方,西アジア,インドなど当時のテチス海域(エチオピア区)とはいくつか共通する種が知られている。
執筆者:速水 格
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報