日本歴史地名大系 「黒牛潟」の解説
黒牛潟
くろうしがた
「万葉集」巻九に載る大宝元年(七〇一)一〇月の持統・文武紀伊行幸の際の歌一三首のうちに
とみえ、さらに同巻の挽歌のなかに「いにしへに妹と我が見しぬばたまの黒牛潟を見ればさぶしも」の一首がある。後者は左注に「柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とある。また巻七の羇旅歌には「黒牛の海」と詠んだ歌も載る。黒牛潟・黒牛海ともに「五代集歌枕」などに紀伊の名所としてあげられる。黒牛潟の名について本居宣長「玉勝間」は「紀の国の或書に、此黒江の磯べに、むかしいと大きにていろ黒き石の、牛のかたちしたるが有て、
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報