黙す(読み)モダス

デジタル大辞泉 「黙す」の意味・読み・例文・類語

もだ・す【黙す】

[動サ五(四)]
口をつぐむ。だまる。「―・して語らず」
そのままにしてかまわないでおく。無視する。
主命―・し難く、詮方しかたなしに彼方へ引返した」〈小杉天外・はやり唄〉
[補説]名詞「もだ」にサ変動詞「す」の付いた語から。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「黙す」の意味・読み・例文・類語

もだ‐・す【黙・黙止】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行変 〙 言うべきことを言わないでいる。だまる。黙(もく)す。
    1. [初出の実例]「皇后、遂に聴(ゆる)さじと謂(おほ)して故、黙(モタ)して亦答言(かへりことまう)したまはず」(出典:日本書紀(720)仁徳二二年正月(前田本訓))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行変 〙 そのままにしておく。無視する。
    1. [初出の実例]「黙(モタシ)て此の事を屑にせず」(出典:文鏡秘府論保延四年点(1138)天)

黙すの補助注記

確実にサ変と見られる用例はないが、古くから名詞「もだ」が使われており、また、古辞書の声点にサ変であることを示している資料があるところからサ変と判断した。ただし「書紀‐神代上(兼方本訓)」の「直(たた)に黙(モタサ)ずして帰りたまふて」、「傾城懸物揃‐中」の「首打れんとの願ひ上意をもだすに似たれ共」のように四段活用と見るべき例もある。


もく‐・す【黙】

  1. 〘 自動詞 サ行変 〙もくする(黙)

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