(読み)ふ

普及版 字通 「黼」の読み・字形・画数・意味


19画

[字音] ホ・フ
[字訓] ぬいとり・あや

[説文解字]

[字形] 形声
声符は甫(ほ)。〔説文〕七下に「白とと相ひするのなり」とあり、その文様は斧文(ふぶん)とよばれた。〔詩、小雅、采〕の〔伝〕に「白とと、之れを黼と謂ふ」、〔爾雅、釈器〕に「斧、之れを黼と謂ふ」とあり、両己相背く形をなすという。黹(ち)は巾に黼黻(ほふつ)を加えた形。もとはぬいとりで飾り、金文に「赤市(せきほふつ)」とあるがその象形で、膝(へいしつ)、ひざかけ)にそれを加えた。白黒・両己の説などは、後の礼家の説であろうと思われる。

[訓義]
1. ぬいとり、ぬいとりのある衣。
2. あや、かざり。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕黼 ノリ

[語系]
黼・斧piuaは同声。黼を斧文とするのは、同声による解釈であろう。両己の説は、未開社会に多く刺の文様にみえるものに近く、布地を相配して白黒を用いることが多い。弗piutの字形も、左右相配する形に似ている。黹は刺の象であるから、黼はぬいとり。piuatも声近く、これらの語には関連するところがあると思われる。

[熟語]
黼衣・黼黼依黼帷・黼・黼黼絵黼裘黼座・黼黼純黼裳黼藻黼帳・黼黻
[下接語]
衣黼・画黼・黼・黼・藻黼

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【斧】より

…【大貫 良夫】
[象徴]
 古代中国でも,斧は権威の象徴であった。斧の刃を白く刃幹を黒く描くか,そのようにぬいとりした布を黼(ふ)といい,これを天子の礼服に用い,また天子はこの布をはった屛風を背にして南面して諸侯に対した。斧の大きいものを(えつ)といい,天子が将軍に征討を命ずるときそのしるしとして授けた。…

※「黼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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