亜墨新話(読み)あめりかしんわ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「亜墨新話」の意味・わかりやすい解説

亜墨新話
あめりかしんわ

兵庫西宮の船『栄寿丸』の漂流記。『栄寿丸』は天保 12 (1841) 年犬吠埼沖で漂流,イスパニア船に救助され,北アメリカのカリフォルニア半島南端を経てマサトラン (メキシコ) に滞在ののち,一部の者は同 14 (43) 年,一部は弘化2 (45) 年それぞれ広東,マカオを経て長崎へ帰った。儒員前川文は,徳島藩主蜂須賀侯の命によって水主初太郎の話に基づきその漂流記を6巻にまとめた。漂流始末,経歴地の地形,気候,人物,言語,飲食,家屋服飾,風俗,遊戯貨財,舟船,草木禽獣を記す。別に船頭善助,水主弥市からの聞き書きは『東航記聞』また『天保新話』として伝写され,安政1 (54) 年には『海外異聞』として刊行された。

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