ES細胞捏造(ねつぞう)事件(読み)ESさいぼうねつぞうじけん/いーえすさいぼうねつぞうじけん

知恵蔵 の解説

ES細胞捏造(ねつぞう)事件

「韓国でノーベル賞に最も近い人物」として政府、企業、マスコミ世論を挙げて応援した黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究をめぐり、韓国検察当局は2006年5月12日、「研究費を流用したり不法に実験用卵子の提供を受けたりした」として、既に辞任していた黄元教授と研究チームを業務上横領詐欺、生命倫理法(05年1月施行)違反などの罪で在宅起訴した。黄元教授がヒトクローン胚から世界で初めてES細胞をつくったとする論文は、ソウル大調査委員会が06年1月までに「すべて捏造」と結論づけており、検察当局は捏造は立件しなかったものの、ソウル大の調査結果を追認した。研究が目指した再生医療は、障害や難病に苦しむ人たちにとって、文字通り救いの手であり、収益を狙って企業化をもくろむ者も多かったため、衝撃は世界的に広がった。

(2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android