改訂新版 世界大百科事典 「GUM」の意味・わかりやすい解説
GUM (グム)
モスクワの赤の広場に面した国立百貨店。Gosudarstvennyi universal'nyi magazinの略称。15世紀以来この場所が商業区であったという伝統をひいている。1921年にソ連邦最初の百貨店として開店したが,30年代に一時閉鎖,53年に再び営業を始めた。建物自体は1893年に完成したもので,長さ約200mの3列からなる3階建てのアーケードである。革命前は名店街風の連合組織であったという事情もあって,単一企業に統合された現在でも,取扱商品は多岐にわたってはいるものの,同一品種がいくつかの売場に分かれ,それぞれの売場の独立性が強いという特徴がある。あらゆる点からみて旧ソ連邦最大の百貨店であり,1979年の時点で売場面積は7万5000m2,従業員は約8000人,1日当りの平均入店者数は約30万で,年間売上金額は7.5億ルーブル(日本円で約2400億円)であった。モスクワ市内の6ヵ所にそれぞれ異なった名称の支店がある。85年に改修が行われ,90年に民営化された。
執筆者:中村 喜和
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報