HER2

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内科学 第10版の解説

human epidermal growth factor receptor type 2 ,ヒト上皮増殖因子受容体2 型

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヒト上皮成長因子受容体2型(human epidermal growth factor receptor 2)の略。HER2遺伝子はc-erbB2ともよばれ、第17染色体に存在し、乳がんや胃がんでしばしば遺伝子増幅が観察され、遺伝子タンパクであるHER2が過剰に産生されていく。HER2タンパクの過剰発現は、がん細胞増殖能や転移能の亢進(こうしん)など、がん細胞の悪性化と関連することが示され、予後因子の一つとなっている。

 分子標的治療薬のなかにはがん遺伝子産物を標的とするものがあるが、HER2を標的に開発された分子標的治療薬(抗HER2薬)がトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)やペルツズマブ(商品名:パージェタ)などである。トラスツズマブは日本では2001年(平成13)にHER2過剰発現が確認された乳がんに対して承認され保険適用となり、その後HER2過剰発現が確認された切除不能な進行・再発の胃がんに対しても追加承認された。これらによる治療を検討する際には、HER2の発現を調べる検査を行うことで、これらの治療薬の適応の有無を確認する必要がある。

 HER2の発現を調べる検査では、免疫組織化学(immunohistochemistry:IHC)法によってHER2タンパクの過剰発現の有無を、蛍光シグナルによるFISH(fluorescence in situ hybridization)法によってHER2遺伝子の増幅の有無を評価する。これらの検査で陽性となった場合に、HER2を標的とした治療が行われる。乳がん患者の15~30%、胃がん患者の10~20%でHER2が過剰発現しているが、抗HER2薬により、無増悪(むぞうあく)期間や生存期間の延長が認められている。

[渡邊清高 2019年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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