ATCトランスポンダー(読み)えーてぃーしーとらんすぽんだー(その他表記)ATC transponder

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ATCトランスポンダー」の意味・わかりやすい解説

ATCトランスポンダー
えーてぃーしーとらんすぽんだー
ATC transponder

航空交通管制用自動応答装置のこと。二次監視レーダー(SSR secondary surveillance rader、二次レーダーともいう)による航空交通管制(ATC)が行われている空域を飛行中の航空機が、レーダーの地上装置からの質問電波を受信すると、管制に必要な自機の識別や飛行高度などの応答信号を自動的に送り返す機上の装置である。二次監視レーダーからの周波数1030メガヘルツのモードパルス(質問信号)を、機体下部の無指向性アンテナで受信したとき、あらかじめ選定したモードと一致すれば、1090メガヘルツのコードパルス(応答信号)を発信する。このコードパルスに、航空機の識別記号や飛行高度の情報、さらに無線通信機の故障やハイジャック通報など非常用通信等の信号をのせ、地上のレーダースコープ上に表示することができる。モードパルスには軍用、民間用をあわせて6種類ある。航空交通管制により指定された空域を飛行する場合は、ATCトランスポンダーを作動させ、管制官の支持に従い、モードおよびコードを選定しなければならない。1980年代以降はATCトランスポンダーの重要性が認識され、管制空域うち指定された空域を飛行する場合は、航空機の飛行高度を応答する機能が義務づけられている。

[青木享起・仲村宸一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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