日本大百科全書(ニッポニカ) 「EU地中海諸国会議」の意味・わかりやすい解説
EU地中海諸国会議
いーゆーちちゅうかいしょこくかいぎ
Euro-Mediterranean Conference
1995年11月EU(ヨーロッパ連合)の提唱によって、スペインのバルセロナにおいて開いた外相級の会議。当時のEU加盟15か国と地中海沿岸のアルジェリア、モロッコ、チュニジア、エジプト、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、マルタ、キプロス、ヨルダンの11か国、パレスチナ解放機構(PLO)の計27か国・自治機構が参加した。またその場で、(1)2010年までに自由貿易地域を創設すること、(2)環境、エネルギー、通信・情報、漁業問題などにおける共同行動計画およびその実施のためにEUが60億ドルの経済援助を提供することなどを盛り込んだ「バルセロナ宣言Barcelona Declaration」が採択された。しかし政治的問題としてEU側が重要視していたテロ対策、不法移民規制、大量破壊兵器などの問題は意見の対立があり、具体的成果を上げるまでに至らなかった。EUがこの会議を開いた背景には、この地域でのアメリカの影響力を抑制しようとする意図があった。
[相原 光]