電界効果トランジスターの一種で,図に代表的な構造を示す.抵抗率の高いp型シリコンの表面を高温で酸化すると,表面にSiO2の絶縁層ができると同時に,その直下に O2 が拡散してn型層が形成される.SiO2の表面に真空蒸着法などで金属をつけてゲート電極とする.電流を流し込むソース電極と,取り出すドレイン電極になる部分にリンなどを拡散して n+ 領域を形成してその上に金属電極をつける.ゲートに正電圧を印加すると,ゲート電極直下のn領域の伝導チャンネル部分に電子が引張り込まれて,チャンネル部分の抵抗が減少し,ソース-ドレイン間の電流は増加する(enchancement mode).逆にゲート電圧を負にすると,チャンネル部分の電子が押し下げられて電子が減少して,ソース-ドレイン間の電流は減少する(depletion mode).また,チャンネル部分はp型でもよく,この場合には,enchancement modeのみになる.ゲート部の構造からMOSトランジスターとよばれている.しかし,絶縁層は必ずしもoxideではなく窒化シリコンなども用いられるので,この場合oxideのかわりにinsulator(絶縁体)のIをとってMISトランジスターというほうが一般的である.MOSトランジスターは,接合型トランジスターと比べて入力インピーダンスが高くて使いやすいので,現在,集積回路に多く使われている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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[半導体メモリー]
半導体メモリーとはIC(集積回路の略)を使った記憶装置またはそれを構成するICのことをいう。半導体メモリー用の素子として,1990年頃までは高速性が要求される用途ではバイポーラートランジスターが使われたが,MOSトランジスターが高速になったため,現在では高集積化が容易で消費電力が少ないMOSトランジスターがほとんどの用途に使われている。 半導体メモリーは素子の種類によってSRAM(スタティックRAM,エスラム),DRAM(ダイナミックRAM,ディーラム)などに分類される。…
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[MOS ICの発達]
一方,半導体の表面物性に関する研究は長い歴史があり,1939年には,ショットキーW.Schottky(1886‐1976)の表面障壁の理論が出され,今日でもショットキーバリアSchottky barrierとしてLSIに利用されている。また,1935年にはヘイルO.Heilが現在のMOSトランジスター(MOSはmetal oxide semiconductorの略で,金属と半導体の間にケイ素酸化物などの薄い絶縁層をはさんで作ったトランジスター)の基本的特許を出願している。しかし,これが実用になるには,良好な表面状態を実現できる技術が確立されるまでの約30年間を必要としたのである。…
※「MOSトランジスター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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