半導体中における電子の流れを,別の電極で制御する電圧制御形のトランジスター。FETともいう。接合ゲート電界効果トランジスター(図1),ショットキーゲート電界効果トランジスター(図2),MOS電界効果トランジスター(図3)がある。いずれもチャンネルといわれる電流通路の電気抵抗をゲートと呼ばれる電極に電圧を加えることにより制御し,電力利得を得ている。チャンネルの端にあってチャンネルにキャリアを流入させる電極をソース,チャンネルからキャリアを流出させる電極をドレインという。図1,2の素子ではそれぞれの空間電荷層の厚さのバイアス依存性を利用してチャンネルの形状を変え,図3の素子では主として表面反転層中のキャリア密度を変えることによりチャンネルの抵抗率を変化させている。
シリコンMOS電界効果トランジスターは大規模集積回路,とくにメモリー集積回路に多く使用され,GaAsショットキーゲート電界効果トランジスターはマイクロ波増幅,発振用および超高速ディジタル集積回路用に使用されている。
→トランジスター
執筆者:菅野 卓雄
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略称FET.多数キャリヤーの電流通路であるチャンネルの伝導度を外部印加電界によって制御して,トランジスター作用を行わせる素子の総称.チャンネルの伝導度の制御形式によって,接合型とMOS型トランジスターの2種類に分けられる.接合型は,印加電界によってp-n接合またはショットキー障壁の空乏層が広がる現象を利用してチャンネルを制御する形式で,MOS型は,絶縁物をはさんで半導体と対向した金属電極に電圧を印加して,半導体表面のキャリヤー濃度をかえてチャンネルの伝導度を変調する形式である.現在ではほとんどMOS型で,MOS(モス)トランジスターとよばれている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…半導体を用いた能動素子。バイポーラートランジスターと電界効果トランジスターがある。電界効果トランジスターは,アメリカのリニエンフェルドJ.E.Linienfeldにより1928年に特許が提出されているが,バイポーラートランジスターは,48年にバーディーンJ.BardeenおよびブラッテンW.Brattainにより点接触トランジスターの形で報告されたものが最初で,その後49年にはショックリーW.Shockleyによりp‐n接合およびp‐n接合を用いたトランジスターの理論が発表され,次いで成長接合トランジスターの試作が発表された。…
※「電界効果トランジスター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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