高真空中で金属や化合物などを蒸発させ,被処理材の表面にそれらを析出させて薄い皮膜を形成させる表面処理法。高温に保たれた蒸発源と低い温度に保たれた被処理材の表面との間の飽和蒸気圧の差を利用する。古くから蒸発源の加熱には抵抗加熱が用いられ,レンズの反射防止,光の透過率上昇のためのコーティングとしてMgF2,TiO,TiO2,CeO2などの蒸着や反射鏡のAl蒸着が工業的に行われていた。その後,電子ビームを利用して蒸発源を加熱する方法が発達し,大量生産システムにこの真空蒸着法が利用されるようになった。また,ガスタービン用ブレードの耐熱性および耐酸化性の向上を目的とした合金(Co-Cr-Alなど)への膜加工,大規模集積回路の配線材料として微細加工性に優れたMo蒸着,帯鋼へのAlの蒸着などが可能になった。ほかに真空アーク加熱法などもある。分子線エピタキシー法,イオンプレーティング法も真空蒸着法の発展した加工法である。
執筆者:増子 昇
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真空容器内で金属を融解すると,金属が蒸発すると同時に容器の壁に凝縮する.この現象を真空蒸着という.この場合,容器内の真空度が高ければ高いほど,蒸発から蒸着までの間に金属蒸気はほかの残留気体と衝突することが少なく,かつ蒸気のもっているエネルギーが失われることなく衝突するので,蒸着膜はより美しくより固い膜ができるはずである.蒸着は純金属だけでなく,複合体および合金などでも行われる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
… 非平衡過程による薄膜製造法にはいくつかの重要な方法がある。もっとも普及している方法は真空蒸着である。これは真空槽中で固体の薄膜材料を蒸発源に入れて加熱,蒸発させ,蒸発源よりはるかに低温の基板上に材料の物質を凝縮させる方法である。…
※「真空蒸着」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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