知恵蔵 「MRAP」の解説 MRAP(エム・ラップ) 米海兵隊・陸軍の装輪装甲輸送車両の計画名称。「耐地雷・待ち伏せ攻撃防護」車の略。イラクやアフガニスタンでIED(手製爆弾)、地雷によって車両が破壊され、米兵に多くの死傷者が出ているため、ハンビー(HMMWV:高機動性多目的車)や中型トラック(MTVR)に代わる人員・物資輸送用として緊急大量調達が行われている。2003年末からハンビーや各種トラックに装甲防御を追加装備する緊急措置が実施されたが、応急的で不十分なために、本格的な防御性を持った設計(例えば耐地雷能力を高めるために車体底面をV字型にしている)のMRAPが採用されることになった。MRAPの導入でIEDに対する人的被害は80%低減できると予想されているものの、横方向から攻撃する爆発成形型貫徹弾(EFP)に対する防御力はそれほど大きくはないともいわれる。07年に米陸軍の同様な装輪装甲車調達計画MMPV(Medium Mine Protected Vehicle:中型地雷防護車両)と統合され、同年5月には米国国防総省装備調達の最優先項目とされて、07年度で11億ドル、08年度予算で58億ドルの調達予算が割り当てられた。07年末までに1500両、08年3月までに6415両が納入される予定で、単価は約50万ドル。6社が各々の開発型の生産に当たっているが、防弾鋼板を製造できる会社が2社しかないために、軍艦建造用の鋼板を優先的に回す措置も検討されている。最終的には市街地警備用のカテゴリー1、コンボイ護衛用のカテゴリー2、基地防衛用のカテゴリー3の合わせて2万両以上が調達されると伝えられる。 (江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by