地雷(読み)じらい(英語表記)land mine

翻訳|land mine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地雷
じらい
land mine

地中に埋設し,敵が接近したり,その上を通過したりするとき爆発させて攻撃する兵器。近代戦における主要兵器の一つ。第1次世界大戦中にイギリス軍戦車隊の進撃を阻むためドイツ軍が埋めた砲弾が起源。大きく分けて対人用と対戦車用とがあり,爆発させる方法によって触発式,電気発火式などがある。外形は通常円形か四角形で,爆薬を収める容器には金属のほかに,磁気探知を避けるため板紙,ガラス,プラスチックなども多用されている。対人地雷には,埋没した円筒から榴霰弾を飛散させるアーセン地,薬莢の上に埋め込んだ小石を飛ばす投石地雷,クレイモアと呼ばれる指向性対人地雷などがある。対戦車地雷には,地雷原や敵の前進路に埋設する重量型のほかに,第2次世界大戦中に連合軍側歩兵が用いた携帯用軽量小型地雷がある。20世紀後半,対人地雷はアジアやアフリカにおけるゲリラ戦で特に有効な兵器と位置づけられ,ベトナム,カンボジア,アフガニスタン,アンゴラなどの紛争で多く使われた。1990~91年の湾岸戦争ではイラク軍がクウェートとサウジアラビアの国境地帯に数十万個の対人・対戦車地雷を埋設した。対人地雷は 20世紀末までに 70ヵ国で 6000万~1億個が埋められ,兵士,民間人の区別なく毎年約 2万5000人に上る死傷者を出した。1996年に世界 120ヵ国以上が対人地雷の製造,使用,輸出の禁止を働きかけ,1997年に対人地雷禁止条約が採択され,1999年に発効した。

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知恵蔵の解説

地雷

地表ないしは地中に設置して人間、車両を破壊する爆発装置の総称。敵の上陸を防止するために浅い水中に設置する「水際地雷」のような、機雷(sea mine)との中間的な形式の地雷もある。一般に地中に埋設したり水底に置いたりして、その存在を知られないように設置するが、地雷の存在を意図的に露呈して通過を阻止したり、通路確保のための除雷作業を強いることで進撃を遅らせる目的から地表に設置したりする場合もある。大きく分けて人間を目標とする対人地雷と車両を目標とする対戦車地雷とがあり、前者は殺害よりも負傷させて、負傷者の治療や後送に多くの人手を強いることを目的とするために、一般的に破壊力は小さい。後者は車両の破壊が目的であり、大きな爆発力を持ち、人間や動物の通過では爆発しないようになっている。ここから対人地雷だけの使用を全面的に禁止する「対人地雷全面禁止条約(APMC)」が1999年に成立した。しかし、地上に設置して特定方向に爆風、破片を飛ばす対人指向性爆弾のような兵器は規制対象にならず、クラスター爆弾の不発弾を逆用して、対人地雷のような効果(その不発弾がある地域の通過、使用を阻止する)を狙う方式も使われ始めた。APMCの調印国は2007年9月現在で133カ国。

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年)

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デジタル大辞泉の解説

じ‐がみなり〔ヂ‐〕【地雷】

地に鳴り響く雷。また、大地の揺れ動く響き。
「この塚めきめきと動き―のごとくしばらく鳴りやまず」〈浮・真実伊勢〉

じ‐らい〔ヂ‐〕【地雷】

地中に埋めておき、人や戦車などがそれを踏むと爆発する仕組みの爆弾。地雷火。
俗に、そのことに触れると人を怒らせる事柄。「彼女の地雷を踏む」

ち‐らい【地雷】

じらい(地雷)
地上の雷声。怒濤(どとう)の響きなどにたとえていう語。
「大道轟き―の如し」〈浮・永代蔵・一〉

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百科事典マイペディアの解説

地雷【じらい】

金属またはプラスチック容器に爆薬をつめ信管を装着した兵器。小型の人間殺傷用と大型の車両破壊用とがある。適当な間隔で幅広い地域に多数地中に埋めておき,人または車両が踏むと信管が作動して爆発する。1970年からヘリコプター火砲等で空中から散布する方式も出現した。地域紛争で多く使われ,紛争終結後も放置された地雷で住民や難民が被害を受けるケースが多発して人道問題に発展,1997年にはNGOの〈地雷禁止国際キャンペーン〉(ICBL)がノーベル平和賞を受賞した。また同年12月にカナダのオタワで〈対人地雷全面禁止条約〉の調印式が行われ,日本など121ヵ国が署名した(米,ロシア,中国は未署名)。同条約は,対人地雷の開発・保有・使用等を全面禁止し,発効後180日以内に国連事務総長に保有対人地雷の数量・所在地等を報告すること,4年ですべてを廃棄し,埋設地雷も10年以内に撤去することを義務づけている。

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世界大百科事典 第2版の解説

じらい【地雷 landmine】

地上または地表面下に設置して,これに触れた車両や人員を損傷,殺傷することを目的とした弾薬。爆薬を充塡した本体と,対象物に感応し本体の爆薬を点火起爆する信管からなる。信管は車両,人員の踏圧に感応する圧力式が多いが,音響,磁気,振動等に感応するものなど多様である。 地雷は対戦車地雷と対人地雷に大別できる。対戦車地雷の爆薬量は対人地雷より多く,信管は車両等には感応するが人員の踏圧には感応しないものを用いる。

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大辞林 第三版の解説

じがみなり【地雷】

地に鳴り響く雷。 「寝るよりはやく高いびき、-かと疑はる/浄瑠璃・平家女護島」

じらい【地雷】

地中に埋め、踏むと爆発して人や車両などを殺傷・破壊する兵器。地雷火。 → ちらい(地雷)
転じて、会話の相手にとってタブーであるような話題のこと。多くの場合、事前の想定が困難である話題をさす。 「 -を踏んで機嫌を損ねた」

ちらい【地雷】

地の雷。大地が雷のように轟とどろくさまをたとえていう語。怒濤どとうの響きなどをいう。 「大道轟き-の如し/浮世草子・永代蔵 1」 → じらい(地雷)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地雷
じらい
landmine

長い歴史をもつ兵器の一つ。地面の中に容器に入れた爆薬を埋め、踏んだ圧力やひもによる引力、電気による着火、金属に対する磁力、体温に感応するセンサーなどで発火爆発する。目的によって対戦車地雷、対人地雷、海岸に埋める水際地雷、浮遊地雷、落下傘部隊に対する対空挺(くうてい)地雷、鉄道地雷、科学地雷などのほか応急の材料で作った急造地雷や訓練用の訓練地雷などがある。味方の損害を伴わず、製造価も比較的安く敵を減殺する有力な兵器として用いられてきた。日本では「大坂夏の陣」で真田幸村(さなだゆきむら)が使ったとの記録もある。
 信管と火薬を詰めた容器からなり、圧力や電気発火のほか震動、電波、音波、時計仕掛けなどで発火させる。埋めた地雷を見つけるには銃剣や棒で手探りするほか磁力や音波応用の地雷探知器あるいは爆弾や手榴弾(しゅりゅうだん)、砲弾による誘爆除去法もある。
 現在用いられている型の地雷がはじめて使用されたのは南北戦争(1861~65)と伝えられる。その後、対戦車兵器として開発されていったが、1960年代のベトナム戦争のころから対人兵器として使用されるようになった。対人地雷は無制限、無差別に埋設され、終戦後もそのまま放置され周辺住民に終わりのない地雷被害をもたらしている。また、80~90年代のカンボジアやボスニア、アフリカ各地の内戦でも多用され、被害が続いている。これらの事情により、1983年、非人道的兵器を規制する「特定通常兵器の使用禁止条約」が発効した(通常戦力の規制の項目を参照)。これは地雷などを文民に対して無差別に使用することを禁じ、地雷原の記録を義務づけたものである。また、90年代の終わりにはイギリスのダイアナ元皇太子妃などが先頭にたち、地雷全廃への国際世論を呼び起こした。1997年、先進各国では人道的な立場から地雷を作らない、持たない、使わないの地雷廃絶の国際条約(対人地雷全面禁止条約)を調印、日本は1998年に加盟した。しかしコストが安く使用方法も簡単なため開発途上国や紛争地域の軍や保安グループではなお装備していることが多い。[寺田近雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

じ‐がみなり ヂ‥【地雷】

〘名〙
① 地に鳴り響く雷。地響きのする雷。
浮世草子・真実伊勢物語(1690)三「此つかめきめきと動きぢがみなりのごとくしばらくなりやまず」
② 雷鳴のような大地の鳴動する響き。
※浄瑠璃・鎌倉三代記(1716)五「御座の畳の下、ぐゎらりぐゎらりぐゎたぐゎたと百千万の地雷(ヂガミナリ)

じ‐らい ヂ‥【地雷】

〘名〙 地中または地表直下に目だたないように埋設し、人または車両の接触・加圧により爆発するように装置した爆薬。対戦車地雷・対人地雷など。地雷火。〔和漢三才図会(1712)〕

ち‐らい【地雷】

〘名〙
① 地上の雷声、多く怒濤(どとう)のひびきなどにたとえていう。中国では古く、雷は秋・冬には地中に隠れひそんでいるものと考えられていた。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「杉ばへの俵物(ひゃうもの)、山もさながら動きて、人馬に付おくれば、大道轟き地雷(チライ)のごとし」 〔陸機‐折楊柳〕

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世界大百科事典内の地雷の言及

【武器】より

…銃砲においては発火装置が重要なものであるが,このころの銃砲の発火発射装置はすべて火縄銃方式のものであった。また爆裂弾として地雷や水雷も使われた。 清代でも,伝統的な槍や刀剣などが使用されたが,武器としての重点は飛道具におかれた。…

※「地雷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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