鋼板(読み)コウバン(その他表記)steel plate

デジタル大辞泉 「鋼板」の意味・読み・例文・類語

こう‐ばん〔カウ‐〕【鋼板】

《「こうはん」とも》圧延機にかけて板状に引き延ばした鋼鉄。厚さ3ミリ以上を厚板、3ミリ未満を薄板という。

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精選版 日本国語大辞典 「鋼板」の意味・読み・例文・類語

こう‐ばんカウ‥【鋼板】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「こうはん」とも ) 板状に引き延ばした鋼鉄。
    1. [初出の実例]「金庫は二階建九十六坪といふ大きなもので、その外壁は、厚さ二尺五寸の鋼板(コウバン)と鋼鉄棒を組合せてあった」(出典:真理の春(1930)〈細田民樹〉森井コンツェルン)

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改訂新版 世界大百科事典 「鋼板」の意味・わかりやすい解説

鋼板 (こうはん)
steel plate

鋼塊を圧延してつくる板状の材料の総称。鋼板には厚板とそうでない薄板とがある。厚板plateと呼ばれる鋼板はふつう厚さ3mm以上のものをいい,とくに成分と製造の際の温度履歴とが注意深く管理されている。それは,厚板はさらに加工して,寒冷地における天然ガス原油の輸送管に使用したり,船舶の外板に使用したりするからである。つまり,鋼には一般に低温脆性(ぜいせい)という現象を起こしやすい弱点があって,このため,1930年代には厚板の溶接で建造された船舶が寒冷な海上でつぎつぎに破断沈没するという事故が多発して大問題になったのである。溶接技術の進歩と厚板の材質面での改良とによって,現在ではそのような不安は一掃されている。高圧タンクや圧力容器などをはじめ鋼構造物の重要部材として厚板は多量に使用されている。製造のうえでの画期的な技術開発は,圧延サイクルと加熱冷却サイクルとの結合によって,比較的成分の単純な鋼板の強靱(きようじん)性を著しく改善することのできるコントロールドローリングをはじめとする加工熱処理法に関するものである。

 薄板sheetはふつう厚さ3mm未満のものをいい,自動車用鋼板,家電製品用鋼板,あるいはめっき用などの表面処理鋼板として広く用いられている。自動車用鋼板については第2次大戦後,初めアメリカで,次いで日本において性状に関しての大きな進歩が得られた。成分の管理,熱間圧延における温度管理および冷却の管理などが適切になされることが,冷間圧延をし,焼きなましをして仕上げる製品の性状を優秀なものにするために不可欠なのである。
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百科事典マイペディア 「鋼板」の意味・わかりやすい解説

鋼板【こうはん】

板状の圧延鋼材。厚さ3mm以上を厚板,未満を薄板という。厚板は造船,橋梁(きょうりょう),建築などの鋼構造物に使用。薄板はふつうストリップミルでつくられ,熱間圧延のまま,またはさらに冷間圧延して,車両,自動車,電気機器その他多方面の用途をもち,亜鉛,スズでめっきしたり,その他の処理をすることも多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鋼板」の意味・わかりやすい解説

鋼板
こうはん
steel plate

板状に圧延した鋼材。厚さによって薄鋼板,中鋼板,厚鋼板に,圧延の方法によって熱間圧延鋼板と冷間圧延鋼板に大別され,その他,形状や加工の別によって帯鋼化学処理鋼板,化粧鋼板などに類別される。それぞれに多くの種類のものがあり,特にストリップ・ミルにより薄鋼板の高品質化が進み,薄鋼板を用いた鋼板品種は多様化してきている。日本工業規格 JISに詳細な規格が設けられている。

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リフォーム用語集 「鋼板」の解説

鋼板

鉄を主成分にする合金を指し、鉄の持つ性能(強度、靭性、磁性、耐熱性など)を人工的に高めた板状の鋼材の事。

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