内科学 第10版 「Reye症候群」の解説
Reye症候群(Leigh脳症、Reye症候群)
病因
脳浮腫と肝を中心とする全身諸臓器の脂肪沈着,ミトコンドリアの膨化と多形成を伴う急性脳症であり,1~2歳の幼若児に好発し,性差はない. 多くの症例でウイルス感染,特に水痘,インフルエンザA・Bなどに引き続いて発症する.アスピリンが誘引となる説があるが,因果関係は不明である.ウイルス感染によるミトコンドリアの脂肪酸β酸化やカルニチン代謝などの障害が示唆されている.再発性Reye症候群は,遺伝性脂肪酸障害,尿素サイクル代謝異常や有機酸代謝異常にもみられる.バルプロ酸投与者に発症することがあり,肝におけるバルプロ酸処理能の遺伝的素因が背景にあると考えられている.
神経症状
先行感染に引き続き,嘔吐,嗜眠,元気がないなどの症状があり,不機嫌,易刺激性,意識障害,痙攣などをみる.肝腫大があるが黄疸はないのが特徴である.[青木継稔]
■文献
Behrman RE, Kliegman RM, et al eds: Nelson Textbook of Pediatrics, 19th ed, WB Saunders, Philadelphia, 2011.Scriver CR, Beaudt AL, et al eds: The Metabolic and Molecular Basis of Inherited Disease, 8th ed, McGraw-Hill, New York, 2001.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報