急性脳症(読み)キュウセイノウショウ

家庭医学館の解説

きゅうせいのうしょう【急性脳症 Acute Encephalopathy】

[どんな病気か]
 細菌やウイルスの感染、中毒その他のいろいろな原因で脳がむくみ、突然、意識障害やけいれんをおこす病気です。原因がわからないこともあります。
 発熱をともなうことが多く、下痢(げり)や嘔吐(おうと)がおこることもあります。
 意識障害やけいれんが治まりにくい傾向があって、後に重症のけいれんや精神運動障害などの後遺症を残すケースがしばしばです。
 ライ症候群(コラム「ライ症候群」)も、この急性脳症の1つです。
 血液、髄液(ずいえき)、脳波の検査や、CT、MRIなどの画像診断で診断します。
[治療]
 全身のけいれんや意識障害に対しては、けいれんを止め、脳を保護する治療(抗けいれん薬や脳のむくみをとる薬、酸素吸入など)を行ないます。
 症状が落ちついたら、後遺症に対する治療(機能訓練、抗けいれん薬の使用、知的障害に対する教育上の配慮など)を行ないます。
 障害が強ければ、専門の施設への通院が必要になることもあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

急性脳症
きゅうせいのうしょう
Acute encephalopathy
(子どもの病気)

どんな病気か

 脳機能障害の症状である意識障害やけいれんを起こして、髄液(ずいえき)検査で炎症所見(細胞増加など)がないものです。炎症所見がある時は急性脳炎として区別します。乳幼児が多くを占めます。

原因は何か

 脳のエネルギー不足(低酸素症、低血糖症、血流障害)、代謝物質増加(先天代謝異常症、肝不全、腎不全膵炎(すいえん)糖尿病、中毒)、神経伝達抑制(電解質異常、中毒)、その他(ライ症候群、ウイルス感染に伴う急性脳症)など、原因はさまざまです。

症状の現れ方

 元気がなく、うとうとし出し、呼びかけたり揺すったりしないと目を開かなくなり、まもなく全身性のけいれんが現れます。異常に興奮することもあります。

検査と診断

 症状、髄液検査(圧上昇)、脳のCTやMRI(脳浮腫(のうふしゅ)像)、脳波(高振幅徐波(じょは))から診断します。原因を調べるため、血液や尿、胸部X線、心電図などの検査が必要です。

治療の方法

 入院して全身管理をしながら抗けいれん薬を使用し、原因疾患の治療と脳浮腫の治療(輸液制限、濃グリセリン・果糖の点滴)を行います。

 予後は原因によって異なりますが、一般に意識障害やけいれんが長引くほど神経後遺症のリスクが高くなります。

病気に気づいたらどうする

 眠っているのであれば起こすと目を覚ましますが、意識に障害がある時は、目を開けてもすぐ元の状態にもどったり、異常な興奮がみられたりします。そのような時は、救急車を呼んで小児科を受診してください。

関連項目

 髄膜炎、脳炎ライ症候群

千田 勝一

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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