ヒメボタル(読み)ひめぼたる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメボタル」の意味・わかりやすい解説

ヒメボタル
ひめぼたる / 姫蛍
[学] Hotaria parvula

昆虫綱甲虫目ホタル科に属する昆虫。本州、四国、九州、屋久島(やくしま)に分布する。体長6~9ミリメートル。黒色、前胸は淡紅色で、前縁を底辺とする三角ないし半円の暗色紋があるが変化がある。腹部後方は黄白色。雄は体が長くて目が半球状で大きく、よく飛ぶが、雌は太くて短く、目が小さく、後翅(こうし)が退化して飛べない。おもに山地にすみ、夜10時ごろから活動、発光し、光は黄色くフラッシュ状に点滅する。伊吹山(いぶきやま)、大台ヶ原山(おおだいがはらざん)などの頂部にいるものは小さく細形であるが、それより低い所では一般に大きい。近年、名古屋城付近で大発生があり注目された。幼虫は陸生で、ベッコウマイマイなどの陸貝を食べる。卵は草やコケの根際(ねぎわ)に産下され1か月ぐらいで孵化(ふか)する。

[中根猛彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のヒメボタルの言及

【ホタル(蛍)】より

…触角は太い。ヒメボタルHotaria parvulaはヘイケボタルに似るが,前縁から中央にかけて逆三角形の大きな暗色紋がある。雌は後翅が退化し飛翔(ひしよう)できない。…

※「ヒメボタル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」