土幕民(読み)どまくみん

改訂新版 世界大百科事典 「土幕民」の意味・わかりやすい解説

土幕民 (どまくみん)

おもに,日本統治下の朝鮮における都市細民をいう。土幕は朝鮮語でウムマクǔmmakともいい,土小屋または掘立小屋のこと。町はずれの河川敷,山の傾斜地などに小屋を建てて住みついた人々で,数百戸の部落を形成した地域もあった。土幕民は李朝時代にも存在したが,植民地期に顕著な現象となり,ソウル(当時京城)では1931年5000人であったのが39年2万人に急増した。土地を失った離農民が都市に流入して土幕に住むケースがほとんどで,職業としては運搬人夫(チゲかつぎ),土木人夫などの低賃金の肉体労働が大部分だった。なお,1960年代末以後の工業化政策の下で韓国の都市部で増大したスラムパンジャチョン(板きれの村)とよばれる。
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