掛緒・懸緒(読み)かけお

精選版 日本国語大辞典 「掛緒・懸緒」の意味・読み・例文・類語

かけ‐お ‥を【掛緒・懸緒】

〘名〙
① 冠(かんむり)に用いる緒。巾子(こじ)にかけ、簪(かんざし)の前で交差させて、あごの下で結ぶ。紙捻(こうひねり)を原則とし、蹴鞠(けまり)の際は組み紐を用いた。
謡曲烏帽子折(1480頃)「程なく烏帽子折り立てて、花やかに三色組みの、烏帽子掛け緒取り出だし」
② 烏帽子(えぼし)に用いる緒。頂頭懸(ちょうずかけ)
※俳諧・犬子集(1633)二「糸柳ゑぼし桜の懸緒哉〈良徳〉」
③ 鎧(よろい)の袖の化粧の板の前方につけて、綿噛(わたがみ)の袖付の茱萸(ぐみ)につなぐ紐。⇔受緒(うけお)。〔日葡辞書(1603‐04)〕
掛け物などを掛けるための上部の紐。
※今鏡(1170)二「みすのかけをなどのやうに、かなもののふさなんどゆらゆらとかざりて」
⑤ 物を背負うときに、肩にかける紐。
義経記(室町中か)七「笈のかけをを取って引上げて振りたりければ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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