无明法性合戦状(読み)むみょうほっしょうかっせんじょう

改訂新版 世界大百科事典 「无明法性合戦状」の意味・わかりやすい解説

无明法性合戦状 (むみょうほっしょうかっせんじょう)

室町時代物語。作者未詳。14世紀初めに成立か。悪逆の无品(むほん)無明王が衆生をまどわし,生死の獄屋に留めるので,法性真如王が釈迦弥陀などの諸仏に無明王の城を攻略させ,無明王を降伏させるという,軍記物語をもじったもの。構想,表現の点で《聖徳太子伝記》などの影響が認められる。また1342年(興国3・康永1)の奥書をもつ《久能寺縁起》には〈無明法性合戦物語〉なる書名が見え,《平家物語》などと同じように盲目法師によって語られていたらしいことがわかる。
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