未開通貨(読み)みかいつうか(英語表記)primitive currency

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「未開通貨」の意味・わかりやすい解説

未開通貨
みかいつうか
primitive currency

いわゆる「未開社会」で物品の交換の媒体,もしくは富の象徴として用いられる多様なもの。エチオピア岩塩,上ナイルのディンカ族シルーク族の鍬 (くわ) や家畜,アフリカ中央部および西部で用いられる布や鉄片メラネシア,アフリカの一部で用いられる貝殻の輪,フィジークジラの歯などはその例で,実用的なものと装飾的なものとがある。メラネシアで用いられる首飾りのように貝殻をつないだものは,色によって価値が異なるが,冠婚葬祭などの儀礼に用いられることが多く,正確な意味で通貨とはいえない。しかし,アフリカで使われている岩塩や鉄片などは,より通貨的な性質をもち,特にアフリカ西部からサハラ砂漠にかけて使われている宝貝 (子安貝) は,日常の売買にも用いられ,近年までつり銭としてヨーロッパ通貨の小銭代りに使われていた。 (→未開交易 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android