法定財産制(読み)ほうていざいさんせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法定財産制」の意味・わかりやすい解説

法定財産制
ほうていざいさんせい

法律規定により定められた夫婦間財産関係の規律 (→夫婦財産制 ) 。夫婦間の財産関係について夫婦財産契約による特別な取決めがないかぎり,法定財産制が適用される。日本の民法は,法定財産制として,夫婦が婚姻から生ずる費用を分担すること (760条) ,日常家事債務について夫婦が連帯責任を負うこと (761条) ,夫婦のそれぞれの財産は各人特有財産であり,夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は共有と推定する (762条) 旨 (夫婦別産制) を規定している。

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世界大百科事典(旧版)内の法定財産制の言及

【相続】より

…両者のちがいは,主として夫婦財産制のしくみのちがいに由来している。フランスでは,法定財産制である後得財産共通制に服する場合に,婚姻中夫婦のいずれかが有償で得た財産は婚姻解消時に折半されるため,たとえば,夫が死亡すると妻は相続に先立って共通財産の2分の1を取得する。これに対して,日本では,婚姻中夫婦の一方の名義で得た財産はその者の特有財産であって他方に分与されないため,配偶者の相続権を重視する必要が大きいのである。…

【夫婦財産制】より


[夫婦財産制のおもな類型]
 日本には,この意味の夫婦財産制の思想はなかったといってよいが,欧米諸国は古くから夫婦財産制に関する多様な伝統を伝えており,その法制を受け継いだ国が多い。一般に,当事者は婚姻締結時(もしくは婚姻中)にみずから夫婦財産契約を取り結ぶことができるが,そうでない限りは法の定める財産制(法定財産制)に従う。夫婦財産制の典型的なタイプは以下のとおりである。…

※「法定財産制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」